ケーキに使うバターや、ヨーグルトやアイスクリームに使う脱脂粉乳の不足が深刻だ。昨夏の猛暑や農家の廃業に伴う乳牛の減少で、原料となる「生乳(せいにゅう)」の生産量が減っているためだ。農林水産省は緊急輸入を決めたが、乳業業界の不安は収まっていない。

 「すぐに輸入できないので、早めに要請した」

 4日、乳業メーカーなどでつくる日本乳業協会は農水省に、バター5千トン、脱脂粉乳1万2千トンの緊急輸入を求める異例の要請文書を出した。クリスマスケーキなどの需要が高まる年末に向け、同省は5月にバター7千トンの緊急輸入を決めた。ただ、業界には「生乳不足はしばらく続きそうで、すぐ足りなくなる」との危機感が強い。

 貿易自由化への不安などから酪農家の廃業が続く。今年2月の乳牛の頭数は前年より2%も減少した。昨夏の猛暑の影響で搾乳に必要な妊娠・出産も思うように進まず、生乳の生産量は6月まで13カ月連続で前年割れとなっている。