辺野古移設計画:地質調査へブイ設置 反対派洋上で抗議
毎日新聞 2014年08月14日 11時56分(最終更新 08月14日 13時57分)
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画を巡り、防衛省は14日、埋め立て工事海域の地盤を調べるボーリング調査実施に先立ち、ブイ(浮標)の設置を始めた。日米地位協定などに基づいて拡大した立ち入り制限区域の境界にブイを並べ、移設反対派の阻止行動を抑える狙い。反対派は漁船やカヌーに乗って抗議した。日米両政府による1996年の普天間飛行場返還合意から18年。県内移設への県民の反発が強い中、環境影響評価(アセスメント)を経た初めての地盤調査に向けて海上作業が本格的に動き出した。防衛省は近くボーリングに着手する。
防衛省沖縄防衛局によると、午前7時20分ごろ海上作業を開始し、7時35分ごろ、一つ目のブイを設置した。ブイとブイの間には連なったフロート(浮き具)を設置した。
反対派の阻止行動を抑えるため、海上では海上保安庁が警戒に当たった。
防衛局は米軍キャンプ・シュワブ内に7月20日未明にブイを搬入した。防衛局が県に提出したボーリング調査の協議書によると、当初は7月中旬にブイを設置し、間もなくボーリング調査に着手する工程だったが、台風の影響などで波が高く、海上作業を延期していた。
防衛局が業者向けに作成した調査業務特記仕様書などによると、ボーリング調査は辺野古沖の21カ所で実施し、直径116ミリと66ミリの2種類の穴を最深約50メートルまで掘削する。水深が浅い9地点に足場のやぐらを、水深が深い12地点に足場として使用する「スパット台船」を配置する。期間は11月30日までで、海底地質調査、船による磁気探査、潜水磁気探査を予定する。期間中は延べ約1250隻の警戒船を配備するとしている。
現行計画の前身、辺野古沖2・2キロの海上基地計画で、政府は2004年9月に環境アセス前にボーリング調査に着手したが、反対派が海上に設置された作業用足場のやぐらに登るなど抵抗し、中止に追い込まれた。今回も移設反対派の激しい阻止行動が予想されたため、政府は日米地位協定などに基づき米軍提供水域の常時立ち入り制限区域を大幅に拡大する「臨時制限区域」(約562ヘクタール)を初めて設定した。
臨時制限区域内は米軍への提供水域となるため、侵入した場合は米軍施設への侵入などの罰則を定めた刑事特別法が適用され、逮捕される可能性がある。【佐藤敬一】