スマホや携帯向けゲームの「主役」企業が入れ替わった。かつての雄、グリーとDeNAは凋落(ちょうらく)の一途をたどり、下位だった企業がヒット作を飛ばして追い抜いた。一獲千金を狙う新規参入も続き、下克上を繰り返す戦国時代の様相だ。

 ゲーム大手グリーの田中良和社長は13日、決算会見で「最近出したゲームには手応えがあり、今が底になる」と強調した。だが、この日発表した2014年6月期決算(通期)の売上高は前年同期比17・5%減の1255億円と2年連続の減収。7~9月期も同26・4%減を予想し、落ち込みに歯止めがかからない。

 グリーは「探検ドリランド」など従来の携帯電話向けゲームで急成長したが、急速に普及するスマホへ対応が遅れた。5月からホテルの直前予約や介護施設の検索など5件の新サービスを始めたが、収益源に育つには時間がかかりそうだ。

 DeNAも遺伝子検査サービスや電子漫画雑誌などで多角化を急ぐ。しかし、ゲームの不振が響き、14年4~6月期の売上高は前年同期比で3割減った。反転させるには「ゲームでヒットを出すことが必須だ」と守安功社長も認める。

 「パズル&ドラゴンズ」が大ヒットして主役の座に就いたのがガンホー・オンライン・エンターテイメントだ。ソフトバンクの連結子会社で、昨年は売上高が前年の6倍に膨らみ、その9割超をパズドラが稼いだ。最新の業績には陰りもあるが、森下一喜社長は「新しい層の獲得をめざす」と、初心者向けや中国での展開に力を入れる。

 交流サイトの利用者が減っているミクシィも、昨年10月発売の「モンスターストライク」で息を吹き返した。売り上げの8割を占め、4~6月期の売上高は前年同期の6倍だ。

 08年設立で、上場先を今年4月に東証マザーズから東証1部に変更したコロプラも「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」などのヒット作が相次ぎ、ゲーム一筋で急伸している。

 各社のゲームは基本的に無料で遊べるが、有利に進めるキャラクターの入手やゲームの延長に課金する場合が多く、それが収入源だ。1作ヒットすれば大金をつかめる現状に、新規参入も後を絶たない。

 無料対話アプリのLINEは6日、ゲーム開発ベンチャーなどに最大100億円を投じると発表。海外勢も続々と新ゲームで「第二のガンホー」を目指す。

 市場の急拡大も見込まれている。スマホ広告会社CyberZによると、東アジアの市場規模は13年に前年比2倍の9168億円に上り、17年には2兆円を超す勢いだという。日本は、ゲームなどアプリ関連の販売額で13年末に米国を抜き、世界一となった。(藤田知也、篠健一郎)