PCパーツの『相性保障』、使っていますか?(Yes or No)


PCパーツを購入する際によく薦められる『相性保障』、あたなは使っていますか?私は必ず断っています。理由は規格が定められたパーツは、組合せさえ合っていれば動くことを前提に作られていることから、相性と言われてもピンとこない為です。

最初に、『相性保障』とは購入したパーツは正常だが、他のパーツと組み合わせた場合に次のような問題が発生した際に購入店側で保証するサービスです。敢えて、買い手の勘違いによる選択ミスや、初期不良ではなく『相性保障』と言っている所がミソです。まずは、一般に自作している人と話していて出てくる『相性により動かなかった原因』を思いつく限りピックアップしてみます。

  • 起動しない
  • 不安定(定期的に再起動が発生する等)
  • メモリやHDDの全容量を認識しない
  • CPUがUNKNOWNとして扱われる
  • ただの電力不足で、高負荷時に落ちる
  • 仕様差異を勘違いしていた(DDR2とDDR3を間違えた、CPUのソケットを間違えた等)
  • 低電圧版メモリ、ECC、reg-ECCメモリを購入時に選び間違えた
  • 電源規格を間違えた(SSI-EPS電源必須だが、そうでない電源を買った)
  • ドライバの出来が悪く特定のOSとの組み合わせで不安定
  • その他自作者の知識・経験不足を原因とする動作不良
  • 家庭用コンセントの電圧不足(たこ足配線含む)
  • 電源によるノイズ

上記、ざっと眺めてもらって、その殆どが調査不足・知識不足、あるいはただの初期不良に起因する問題である事に気づかれたでしょうか?そしてこれらの解決策は『相性保障』をかけるまでもなく、1つのPCパーツショップで店員さんを呼び、店員さんに『PC一式作るから20分ほど一緒に店内を回ってください』と言うだけで済みます。店員さんに選んでもらう事で、CPUソケット、メモリ規格、電源規格の間違い等の初歩的な問題は全て回避可能です。更に選んでもらった組み合わせで動かなかったら、それは『相性』ではなく、ただの初期不良なので、その店に問い合わせるだけで済みます。

このサービスは九十九電機の店舗型のショップで行っており、自作したいので付き合ってほしいと言われた場合に、私が良くやっている常套手段です。

ここからは、上記に挙げた問題点について、相性と言えるかどうかを検討します。

現象 切り分け手法と対応策 相性と言えるか? コメント
メモリやHDDの全容量を認識しない MBのサポートページでメモリ、HDDの対応状況を確認し、最新のBIOSがその不都合修正がされていないかを確認する。OSが32bitのままだったと言う時も、メモリやHDDの全容量を認識しない事がある。 No OS、BIOS辺りの問題で相性じゃない。
CPUがUNKNOWNとして扱われる MBのサポートページでBIOSの対応状況を確認。必要であればBIOSを最新版にアップデートする。 No BIOS辺りの問題で相性じゃない。
ただの電力不足で、高負荷時に落ちる ベンチマークソフトや、PC起動時に一時的に電源に高負荷がかかって落ちる現象が発生する場合には、ビデオカードを積んでいる場合には、取りあえず取り外して現象が発生しなくならないかを試してみる。電力不足ならば電源を大容量の物に交換する。 No ただの電力不足。ハイスペックにするとたまに遭遇する。
仕様差異を勘違いしていた(DDR2とDDR3を間違えた、CPUのソケットを間違えた等) 物理的にささらないはずなので、くみ上げて電源ONまでは至らないはず。返品/交換してもらう。 No ただの規格違い。購入時に、規格間違いが無いかぐらいは聞いておけば避けれた問題。
低電圧版メモリ、ECC、reg-ECCメモリを購入時に選び間違えた メモリの相性とか言われているもので良く耳にする問題。普通の自作ではECC、reg-ECCメモリは買う事は無い。買う人は解っていて買っているはず。外見上の違いはメモリチップがECC無しの場合には8個/16個、ECC有の場合には9個/18個。低電圧版メモリの場合には、買う時の型番で解るよね。これもただの確認不足であり、相性ではない。 No ただの規格違い。Bay-Trail等で低電圧版メモリのみとかのMBがあるので、そういうMBを使っている場合は要確認。
電源規格を間違えた(SSI-EPS電源必須だが、そうでない電源を買った) MBのマニュアル等に、対応する電源規格の記載があるはず。最近の電源を普通に購入すれば規格違いで動かないようなことは無いはず。ワークステーションやサーバー用のMB(SuperMicro等が出している)を買わない限りは問題にならないはず。ざっくり誤解を恐れずに言ってしまうと、4万円以上のMBを買っていない限りは問題なし。 No ただの規格違い。普通はこんな問題には出くわさない。
ドライバの出来が悪く特定のOSとの組み合わせで不安定 取りあえずは最小構成(CPU、メモリ、MB、電源、HDD)にしても発生するかを確認して切り分ける。ドライバの入手経路としてビデオカードの場合には、カードを作っているメーカーからではなく、AMD、nVidiaのチップメーカーから最新のドライバをDLする。MBのチップセット向けドライバはMBに添付されていたCDの場合には古い事が多いので、INTEL、AMDの各々から最新のドライバをDLする。 No ソフトウェアのバグ。ASUS、MSI、GIGABYTE等の大手を使っていれば、この辺で悩むことは無いはず。
その他自作者の知識・経験不足を原因とする動作不良 接触不良だったり、電源の作りが悪く、電源自体がノイズをまき散らして不安定になっていたり、色々な原因が思い当る。周りに自作をやっている人がいれば、相談してみるとPCパーツ一つ一つを取り換えつつ動作確認してもらえる可能性有。特にそういった人が周りにいない場合には、出来るだけ多くのパーツを買った購入店に相談してみる。 No 属人的なミス。安いからと言って複数店舗を渡り歩いてPCパーツを購入した場合は事態が悪化する。お得感を求めると良い事が無い典型例。
ウイルスが・・・ たまにウイルスがどうのと言う人がいます。LANから切り離して、正規のOSを用いてインストールしてから動作確認して下さい。正規のOSが無ければLinux等でも良いです。高確率でウイルスは関係ないはずです。 No 天然ボケ。勝手にウイルスだと妄想するのは止めましょう。
起動しない 接触不良。電源の115v/230vのスイッチが逆。電源スイッチのケーブルが繋がっていない。CPU、メモリ、MB、電源辺りの初期不良。CPUファンが繋がっていない。etc… No 属人的なミス。一旦落ち着いてから作業すれば少しずつ改善されるはず。初期不良の場合には購入店へ。
不安定(定期的に再起動が発生する等) どんな時に不安定なのかを切り分けないと何とも言えない。音を出す時とか、HDDにアクセスするときとか、何となくでも切り分けて、一つずつ潰していく。もう一台確実に動作するPCがあれば、そちらにメモリやHDDを付け直してみて、大丈夫な部品を犯人から除外していくと吉。たまに電圧不足と言う落ちもあるので、たこ足配線で電源を取っていない事と、違うコンセントから電源を取って解決しないかも試す事。 No 最初の自作で遭遇すると厳しいが、本記事で書いているように、1つの店で店員さんにアドバイスしてもらって購入すれば、単純に購入店に問い合わせるだけで済む。
家庭用コンセントの電圧不足(たこ足配線含む) 稀に遭遇する環境的な問題です。まず、たこ足配線は止めます。冷蔵庫や電子レンジ等から遠く、電圧が安定している(と思われる)コンセントで起動試験します。 No 環境の問題。古いお宅で発生する事がある。UPS導入で直ったりすることもある。
電源によるノイズ 電源からMBに伸びている24PINのケーブルがメモリやMBのすぐそばを通っている場合に発生する事があります。タイラップ等でケース内のケーブルをきちんとまとめると回避できたりします。 No 組み立てミス。もしくは電源の品質が悪い。

各々原因は初歩的なミスか初期不良で、相性と言われても、突き詰めると技術的な原因は明確に出来ますね。もしかしたら、相性と言うのは原因が解らなかったときに、お互いが納得する為の方便かもしれません。

 

ここからは、『相性保障』を使わずに、信頼性を担保しつつ購入するにはどうすれば良いかを検討した結果です。

店舗で購入する場合

自作初心者の場合には店舗購入する事をお勧めします。

PCパーツ一式を買い集めて自作する場合には、下手に各パーツが安いショップで買い集めると、問題があった場合に切り分ける事が大変です。そこで、1つのショップで全パーツを店員さんに予算、スペックを相談した上で店員さんのアドバイスをもらいながら自作パーツ一式を買ってしまいます。ショップ側としては一気に複数のパーツをまとめて売れるメリットがありますし、自作する側にも初歩的な規格違いで動かないと言うミスを排除でき、組み合わせた後に動かない場合には、相談したショップ(店員さん)に問い合わせれば済むと言う安心も得られるので、ショップ、購入側双方にメリットがあり、お勧めできます。なお、相性保障は不要です。店員さんに選んでもらった末、相性で動きませんでは、店員さんの面目丸つぶれですからね。

ネットショップで購入する場合

PC一式をくみ上げる場合には一つのショップでまとめ買いする事を心がけ、まとめ買いをします。ショッピングカートに全部詰め込んだ後に、そのショップに電話して、担当者のお名前を聞いた後で、まとめ買いする事と型番を伝え、『この組み合わせで購入予定ですが、規格違いによる組合せミスは無いですか?無ければ発注します。』と丁寧に聞きます。5分もあれば聞けるはずです。これで初歩的な規格違いによるリスクを0に出来ます。ショップ側も購入直前の念の為の電話であれば無下にはしないはずですし、BIOSのCPU対応状況等が不透明な場合にはやった事もあります。もしも回答が怪しかったり、回答を拒否された場合には違うネットショップを探せば良いかと。

これは蛇足ですが、私がショップのシステム担当だった場合には入力フォームに『PCパーツ一式購入時に購入前に規格違いによる不一致があった場合、連絡を希望する。不一致があった場合には連絡の上注文を変更またはキャンセルする』と言うような項目を付けます。そうする事で見込み顧客を増やせますし、何よりも信頼性をアピールできます。『相性保障』でお茶を濁されるよりは、多少単価が高くなってもそういったショップは需要があると思います。

自作上級者の場合

初期不良以外には問題を踏まないはずなので、先輩諸兄に申し上げる事はありません。私は仕様差異によるミスが無いと確信できている時は、カード決済時のセキュリティが安心と言う理由でAmazonで済ませています。初期不良時にはきちんと対応してくれますしね。

まとめ

店員さんの身になって考えてみると、『複数の店舗を見比べて、一番安い店で購入したけど、動かない。おたくの店のパーツは大丈夫か確認して。』と言われたら、一式買ってくれているなら相談にも乗るが、そんな買い方をされていた場合、相手もしたくないと考えてしまいますよね。私が店員だったら、『相性保障に入っていれば対応させて頂きます。』と回答して終わらせると思います。少し見方をかえると『相性保障』や『延長保証』はクレーマーをやり過ごす為のショップ側の防衛手段にも使えそうです。

以上から、経験豊富な店員さんに相談もせずに安いお店で別々にパーツを買い集めて『相性保障』に頼るよりも、多少高くなったとしても経験豊富な店員さんに相談して、その一店舗のみで買い物を済ませた方が結果的には双方の為に良さそうと結論付けさせてもらいます。

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