民主党は18日、衆院小選挙区で5、比例区で40の計45議席を削減する衆院選挙制度改革法案を、単独で衆院に提出した。比例定数140のうち、35議席分は少数政党に有利な「連用制」を採用し、現行の11ブロックは全国比例に改めるとしている。ただ自民党などには異論が強く、今国会での成立は不透明だ。
法案提出は、違憲状態の小選挙区での「一票の格差」是正や、消費増税実現に向け国民の理解を得るために「身を切る」姿勢を示すのが狙い。次々回の衆院選から総定数を現行から80減の400とするため、次の衆院選後に選挙制度審議会を設置すると明記。「1年以内に結論を得る」とした。民主党は19日にも法案を審議入りさせる構えだ。
民主党案については、18日の与野党幹事長・書記局長会談で各党から異論が相次いだ。自民党の石原伸晃幹事長は「誰も理解できないような一部連用制を、数の力で押し切るのは議会制民主主義の崩壊だ」と反対を表明。共産党の市田忠義書記局長は「比例制度を中心にした制度に改めるのが望ましい」と指摘し、社民党の重野安正幹事長は定数の計80削減に反対した。
一方、公明党の井上義久幹事長は賛否を留保した。民主党案は公明党など少数党に有利に配分される制度で、井上氏は「連用制について一定の理解は得られたが、合意に至らなかったのは残念だった」と述べた。
ただ共産党以外の党は、違憲状態の解消策である小選挙区5減を実現させる必要がある、との認識で一致した。消費増税関連法案で修正合意した民自公3党で衆院解散への環境を整える観点から、小選挙区の「0増5減」の先行実施が現実味を帯びる可能性もある。
民主党の輿石東幹事長は会談後、記者団に「0増5減」の先行実施は否定したが、「案をつぶすなり、成立するなり、修正ができるのか、できないのかをやっていただければいい」と述べて、修正協議に委ねる考えも示した。