斎藤靖史、田中久稔
2014年8月14日10時12分
水俣病被害者救済策の対象地域から外れている鹿児島県伊佐市の山間部にある布計(ふけ)地区で今夏、70代の夫妻2人が初めて県から「被害者」と判定された。地区では過去に水俣病の認定患者が出ておらず、過去の政治決着でも対象地域から外されてきた。救済対象者の判定作業は大詰めを迎えているが、対象地域を決めた「線引き」の矛盾が改めて浮き彫りになっている。
救済策は原則として、不知火(しらぬい)海沿岸の対象地域に居住歴があり、1969年11月までに生まれたことが条件。布計地区のような対象地域外からの申請は、原因企業チッソのメチル水銀に汚染された魚介類を日常的に食べていたことを申請者が自ら証明する必要がある。
布計地区は80年代まで鉄道で熊本県水俣市と結ばれており、行商が水俣の魚を運んでいた。被害者団体「水俣病不知火患者会」によると、同地区では、対象地域に居住歴はないが、民間の検診で水俣病の典型症状が確認された住民14人が救済を申請。しかし、魚介類を食べたことの証明は難しく、認められたのは、この夫妻2人だけだという。
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朝日新聞社会部
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