桃李くん、お尻ぐらい見せようよ。 『an・an』2014/8/20号
夏の宿題よろしく読書感想文コラムをしたためてから早1年。今年もこの季節がやってまいりました。夏恒例、雑誌『an・an』のセックス特集です!
夏になるとこれを読むという習慣がすでに身についている私。朝イチでコンビニに寄ったわけですが、売り場でまず目を惹いたのは松坂桃李クンの腕毛。腕つってもヒジ下じゃないですよ。上腕までうっすら体毛に覆われているところに、妙な色気を感じました。もっとツルンとした青年だと思っていたのに、やだぁ~なんだか野生的じゃないの、と。でも、中のグラビアページは露出不足! ぜんっぜん物足りない!!
そんなこんなでページを開くと、出ました、読者体験記。「最高に感じた彼との濃密な時間…。その官能のすべてをお話しします」と題して、計10篇が収録されていますが、昨年と同様に退屈です。甘さとステキの押し売りって、これ誰得? 読んでいるこちらが小っぱずかしくなるようなショートストーリーの連続で、早々にお腹いっぱいです……と思うのは、私がもともと甘党ではないからでしょうか。こういうデザートのようなセックスばかりじゃなくて、もっと酒のアテ的な、京都のおばんざい的な逸話もあっていいんじゃないの、と食傷気味になるのです。
でも、そこは『an・an』ですもんね。生活感のあるものはいらないのです。読者の生々しい体験も不要でしょうね。そんなものは手作りのお菓子(たいしておいしそうでもないけど、Facebookに載せられたらいいね! しなきゃいけない雰囲気の)でしかありません。ちゃんとプロの手を入れてきれいに整えられた、もうそれだけで誌面がキラキラ☆ しちゃうような、美し~いスイーツでないと、雑誌に載せる意味はない。酒のアテだなんて、そもそも来るお店を間違えています。
そっかぁ、やっぱセックスってこんなふうに夢のあるロマンチックなものじゃないとねぇ、と自分の渋好みを反省しながら読み進めると、待望のテクニックページにたどり着きました。数年前まではこれがメインの特集でした。これでもかというほどトンデモ・テクが繰り出されていて、性にまじめに携わる人たちの眉をひそめさせ、ツッコミ目的のウォッチャーを歓喜させていました。でも、昨年はこの手のページが少なく、「an・anが、セックスにおいてテクニックは重要ではないとやっと気づいた」とまでいわれていました。
今年も、ページ数は少ないです。が、初っぱなからトンデモなにおいがぷんぷん漂ってきます。「愛と官能の究極コントロール術」と題して、各界の識者が入れ替わり立ち替わりレクチャーしてくれるのですが、トップバッターはエラい神経科学者の先生による「オキシトシンの出し方」。幸せホルモンともいわれるもので、イッた後に出るんですよね。あの頭がポーッとする多幸感みたいなものの正体です。