なぜ大人は若者に夢を持てと言うのか?便利な夢という言葉で、人生を狂わせないために
今年で20年来の付き合いとなる、親友でウェブ編集者、中川淳一郎氏の新著『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』(星海社新書))が7月に発売された。2010年に出版された『凡人のための仕事プレイ事始め』(文藝春秋)に、情報サイト「cakes」での連載『赤坂のカエル』の内容を追加し、大幅に加筆・修正、再編集して新書化したものである。実に痛快な中川節が炸裂している、読んでいてスカッとする本だ。少なくとも、中年の私にとっては。「Thinkstock」より
「夢よりも目標を持て」
「夢は時に人生を狂わせる」
「仕事をする最大のモチベーションは『怒られないこと』にある。社会人にも小者は大勢いて、仕事とは、日々小者どもが怒られないためにセコいことばかりしている。そんな状況を理解したうえで、どうやって仕事をすべきか?」
など、身も蓋もない話を含め、彼のサラリーマン、フリーランスとしての体験と、それをもとにした処世術が書き綴られている。反感を持つ人もいることだろうが、そういう人はそもそも本書を手に取らないことだろう。
きっとタイトルだけで批判する人もいるだろう。いや、実は、私もこのタイトルはないだろうと思っている。内容に同意し、面白いと思いつつも、『夢、死ね!』というタイトルはさすがに下品だと思ってしまった。別の記事で書いたことだが、実力もないし努力もしない人が夢ばかり語っているのは痛い以外の何者でもないし、本当に人生が狂ってしまうのだが、とはいえ、夢が人を面白い場所に連れて行ってくれるのもまた事実である。
また、夢には種類があるのだ。叶うかどうかわからなくても、人生が楽しくなるという夢だってある。「バカみたいな夢」があるがゆえに、想像をはるかに上回る、非連続的な成長ができることだってある。
まあ、それはいい。ここでは、ちょっと違う問いを立ててみよう。それは
「なぜ大人は若者に夢を持てと言うのか?」
ということだ。学校の入学式や卒業式、会社の入社式や社員総会では、盛んに「夢」が語られる。あるいは、著名人たちのインタビューでも若者に「夢」を持てエールが送られる。夢に関する名言は多数あるし、一定の支持を集めている。これはなぜだろうか?
●「夢」という便利な言葉
筆者は4月に『「できる人」という幻想』(NHK出版)という書籍を上梓した。その際に、平成の入社式で大企業の社長がどのような訓示をしたか、そして日本経済新聞がどの訓示を紹介したというものをまとめた。夢を語る訓示は散見される。夢という言葉が入った訓示を抽出してみた。例えば、次のようなものだ。日経新聞に掲載された当時の社長名、社名、訓示の内容は次の通りだ(以下、肩書や社名は当時のもの)。
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