US actor Robin Williams found dead, aged 63, in apparent suicide, California police say http://t.co/EydgEYB9If
— BBC Breaking News (@bbcnews_ticker) August 11, 2014
あまりに「そればかり」なのでしばらくTwitter見ないで別の作業をしていたのだが、数時間後にイラクやガザについてのニュースをチェックしようとTwitter.comを見てみたら、英国・アイルランドのみなさんが朝起きたタイミングで、やっぱり画面は相変わらず驚きの声や自殺防止のメッセージで満たされていた。
UKが朝8時台で、「起きてニュースを知った」という人がいろいろと話をしているのだろう。トレンディング・トピックスがすべてロビン・ウィリアムスに関連する言葉。 #RIPRobinWilliams pic.twitter.com/hz1tbuk9Sm
— nofrills (@nofrills) August 12, 2014
少し修正。スクリーンショットをとった瞬間に入れ替わっていたようで、この画面では10件中9件がロビン・ウィリアムズ関連(1件はQ&Aサイトの「火曜日のお題」みたいなもの)。
— nofrills (@nofrills) August 12, 2014
同じタイミングで同じTTをスクショしている人がいた。
https://t.co/8xYJgSiOrV
— nofrills (@nofrills) August 12, 2014
さっきのからだいたい1時間後。「マイナーな」(←和製英語)作品名が出てくるようになった。以前、10中9がロビン・ウィリアムズ(ゼロtoヒーローとかいうのはよくわかんない質問企画。アフリカ大陸で人気みたいなんだけどなぜUKのTTに…) pic.twitter.com/cRfc4pXBv5
— nofrills (@nofrills) August 12, 2014
さらに約1時間後。 @ken_sugar さん、きてますよ。 #RobinWilliamsWillLiveOnForever pic.twitter.com/mbM4Np2qXI
— nofrills (@nofrills) August 12, 2014
英国・アイルランドが朝を迎えた時間……
'Goooooooood morning Northern Ireland! It's 0700 hours. What does the "O" stand for? O my God, it's early!' #RIPRobinWilliams
— Belfast Telegraph (@BelTel) August 12, 2014
Actor #RobinWilliams has been found dead at his home, in an apparent suicide. What do you remember most about him?
— Good Morning Ulster (@BBCgmu) August 12, 2014
NI folks, help is available for issues around suicide, self harm & subsance misuse: @FASASupport
— HilaryCampbellMartin (@LyraUK) August 12, 2014
Couldn't have said it better. #RIPRobinWilliams pic.twitter.com/jUOBJJ6TYn
— (@LadyStruggles) August 12, 2014
Depression is silent but incredibly dangerous.
Just be a nice human, you never know what silent battle people are facing.
#RIPRobinWilliams
— Joe Crann (@YesWeCrann) August 12, 2014
If you are dealing with depression or suicidal thoughts, PLEASE reach out. #RIPRobinWilliams #mentalhealth http://t.co/hRZnYswzet
— Shea Wong (@MrsSheaWong) August 12, 2014
「自殺防止 suicide prevention」という考え方も日本では通じないけど、英語圏では誰かが自殺したようだというニュースがあるとだいたい必ず、ソーシャルネットでは「話したいことがある人はここに電話を」といったメッセージが出る。報道記事の最後に電話番号などが書かれていることもある。(「自殺」そのものを基本的に認めないアイルランドではこの限りではない。「自殺」は、非常に微妙な問題なのだ。)
例えば、上でツイートを参照しているShea Wongさんのブログは、彼女がどのように訃報を知ったか、彼女がいかにロビン・ウィリアムズのファンだったかを導入部として、次のように展開している。
I’m not interested in the how pertaining to his manner of death – it’s been ruled consistent with suicide. I’m not even interested in the why – it was openly acknowledged he’d battled sobriety and addiction issues for years, and his publicist had stated he’d been going through a severe depression. I’m writing this to remind you…to remind myself that mental health affects 1 in 4 of us regardless of our socio-economic status, or talent, or gifts. It does not discriminate. And while the resources we have or can access (such as having the saved cash to take time off work, or having comprehensive health care) can often facilitate a speedier forward momentum through the mental health issue, “perks” like money, fame, adoration, support aren’t guarantees that you’ll get “better”. Everyone is still facing a challenge.
つまり、「ウィリアムズがどのように、なぜ自殺したかは興味がない。深刻な欝を抱えていたことは明らかにされている。ブログを書いているのはそんなことのためではなく、私たちの4人に1人は精神の健康が問題となるということを改めて強調したいからだ。社会・経済的地位や才能は関係ない。それは誰であれ差別しない。お金や名声などがいくらあっても『回復』するという保証はない」。
The tributes have begun pouring in, and I’ve already noticed a theme, the phrase ‘a sudden loss’. It’s sudden, yes…for the people left in the wake of suicide. It’s almost never sudden for the person who has killed themselves. I’ve written about my suicide ideation before, as have many others, and while our stories all differ due to our circumstances, one thing is shared – suicide would not have been ‘sudden’ for us. It would have been the end of a very long battle.
「故人を悼む声が次々と入ってくるが、一貫して『突然の悲報』というフレーズが用いられている。確かに、残された人にとっては突然のことだ。だが、自殺した本人にとっては、突然、などということはまずない。……自殺しようとしていた人にとって、自殺は『突然の』ものではない。とても長いたたかいの結末としてそれがあった」
"Did you lose your mind all at once, or was it a slow, gradual process?" - The Fisher King #RIPRobinWilliams pic.twitter.com/QkQPpHuy4G
— Ateş (@NoiseForZEUS) August 12, 2014
Robin Williams, the most astonishingly funny, brilliant, profound and silly miracle of mind and spirit, has left... http://t.co/U4NEiR6vJU
— Terry Gilliam (@TerryGilliam) August 12, 2014
If you are going through a mental health issue, please know you aren’t alone. UK people can call the Samaritans day or night at 08457 90 90 90 or email jo@samaritans.org. Americans, you can call the Samaritans hotline at 1 (800) 273-TALK. If you are really in a jam and can’t remember that number, dial 211 and tell them you need to talk to someone now – 211 is a nationwide health directory number who will connect you to someone who can listen. Everyone around the world can use Befrienders.org’s directory to find their local organization to listen.
「MHの問題を抱えている方、どうか、あなたは一人ではないということを知ってください。英国にいる人は1日時間を問わず、サマリタンズに電話できます。メールの受付もあります。米国の方のサマリタンズの番号はこちら。本当にどうしようもなくなっていて番号を思い出すこともできなかったら、(英国にいる場合は)211とダイアルして、誰かと話をしないとならないと告げてください。この番号で全国どこからでも、話し相手につないでくれます。全世界各国のこのような相談窓口の一覧は、Befrienders.orgにあります」
これはとびきり詳しくて丁寧だが、このような「一言」が「著名人の自殺のニュースを聞いて私が思ったこと」についてのブログに添えられていることは、ごく普通だ。日本ではあまり見ない。
社会の制度としても、上のSheaさんのブログにある「211」の番号のようなものは、私は日本では聞いたことがない。むしろ、「自殺防止」は「個人の心がけ」の問題と見なされていて、いろいろ、放置されてると感じる。スキャンダルの渦中であることないことマスコミに書かれ、ものすごいプレッシャー下にある人を現場から外すこともせず、そのまま「部署の責任者」にしておいて、挙句職場で自殺させてしまう (「させる」は make ではなく let) のが日本のありかたであり、「最悪の結果」が何度繰り返されても、その問題点を「指摘する声」すらあがらない。どんなにあからさまに「自殺させないようにすることが放棄されていた」ようなケースでも、「個人の問題だから」で片付けられてしまう。
ところで、東京でひとりの男性が政治的主張をして焼身を図ったときには、「こんなことを報道して、後追いが出たらどうするんだ」とか「通行人に迷惑だ」とかいうのがものすごくやかましかったけど、suicide preventionの取り組みで典型的な「自殺しても何も解決しない」という言葉は、私が見てた範囲が狭かったのだろうが、見なかった。「相談窓口」(いのちの電話)を紹介するツイートは1件見たと思うけれど、そのツイートは「報道するな」論を主張するアカウントからではなかった。「NHKはガイドラインにのっとっているので自殺は報道しない」というデマを吹聴してまで「報道するほうがおかしい」って言う人は、いったい、何を主張したいんだろうな、単に「マスコミ批判」をしたいのかな……と思ったものだ。
そこまで極端に政治的(でないふりをしているが、実は単に政治的)でなくても、「日本のマスコミはWHOガイドラインを無視しているが、海外の[原文ママ]マスコミはそれを守っているので、自殺は報じない」と無邪気に信じている人もいるだろう。というわけで、簡単だが記録だけはしておきたい。
自分用のメモ・ロビン・ウィリアムズの死を、「ガイドラインを守っている海外メディア(棒)」がどう伝えているか、見ておくこと、記録しておくことはたぶん必要。今しがた下品なタブロイドのも流れてきたが。
https://t.co/O1ryb4yOfu
— nofrills (@nofrills) August 12, 2014
「下品なタブロイド」は、どこだったか覚えていないが、ザ・サンかデイリー・ミラーかデイリー・スターだろう。誰かが「まだ確定していないのにこんなにでかでかと書くのはどうよ」的に一面のスキャンを回覧してきたのだが、二度と見る気がしなかったのでそのまま流した。確認しようと思えばできるが、ちょっとまだそんな気分ではない。
でかでかと「自殺」と書くのとは対極的な、遠まわしな表現。宗教的に保守的(カトリックもプロテスタントも)な北アイルランドで「自殺」という言葉は、報道の見出しに出るとショックすぎるような語だ。
Sad, sad news... actor & comedian Robin Williams found dead.
http://t.co/LkEymDTGCn
— Mark McFadden (@MarkMcFadden) August 12, 2014
ここにある "found dead" という表現は、「ひとりでいるときに心臓発作で倒れ、帰宅した家族が発見した」など病死や事故死でも用いられる表現だが、「自殺」の第一報がこの表現ということも多い。
日本での「警察発表」は、情報の受け手からすれば「マスコミがそういっているから信じている」ようなものだが、英語圏では注目度の高い件ではメディアがその文書を公開することがある。今回私がたまたま見たのは、(米国ではなくなぜか)アイルランドのラジオ局のツイートだが、検死当局のステートメントがそのままツイートされている。(たぶん米メディアでもやってる。)
Actor and comedian Robin Williams has been found dead at his home in California. He was 63 pic.twitter.com/JfoCI1oKWm
— Today FM News (@TodayFMNews) August 11, 2014
このステートメントに基づいて、最初期の報道で「窒息による自殺」と言われていたのだ。
Coroner investigators suspect Robin Williams died from “suicide due to asphyxia,” Marin County Sheriff’s office says. http://t.co/JfgTdY3UFI
— CNN Breaking News (@cnnbrk) August 11, 2014
そして「興味本位でのしつこい取材」は日本だけのものではない。ウィリアムズが死に場所に選んだのは自宅だった。ご家族が「そっとしておいてください」と言っているにもかかわらず、意味のない中継ヘリが出た。
RT @DigitallyDownld: Everything wrong with modern media in one screenshot: pic.twitter.com/sSuXPmpuhK
— tania branigan (@taniabranigan) August 12, 2014
そして、人々がそのあまりにショッキングなニュースについて一通り話をして、受けた衝撃を吸収し終えたころに、報道の第二波が来る。これが危険なんだ。つまり、第一報では「確定」していなかった(apparentという形容詞で語られていた)ことが「確定した」という報道。これは、「事実の確定」ということで重要なことだが、情報の受け手としてはその中身は「既に知っていること」に過ぎない。そして、昨日は消化できたと思っていたショックがぶり返す人もいる。
Robin Williams was found hanged at his California home, coroner says, confirming the actor took his own life http://t.co/pev7IGvR7E
— BBC Breaking News (@bbcnews_ticker) August 12, 2014
BBCは見出しやTwitterのフィードでは非常に抑えたトーンだが、そうでないメディアもある(特に「タブロイド」というわけではない)。
#RobinWilliams body found with knife and cuts on his arm, officials tell Reuters
#RobinWilliamsWillLiveOnForever pic.twitter.com/daicXErMKU
— euronews (@euronews) August 12, 2014
#BREAKING Robin Williams was found with belt round neck: police
— Agence France-Presse (@AFP) August 12, 2014
この調子なので、こういう批判も出てくる。
See, here's the no-new value, disrespectful and irresponsible part blurred out, @NBCNews. It's possible. pic.twitter.com/pnbQg4AJO7
— Zeynep Tufekci (@zeynep) August 12, 2014
Robin Williams death: media has duty to report suicide responsibly http://t.co/idUGX5tDuv
— Media Guardian (@mediaguardian) August 13, 2014
一方で、「クリック数が稼げる美味しいネタ」だから、好奇心をあおる形容詞をちりばめて、特にネタでもないネタをあちこちにばら撒くという低劣な行為も散見される。記録したのがたまたまインディだけど、インディ(ここはもう、完全にタブロイド化して「左翼のデイリー・メイル」になってしまった)だけではない。テレグラフなんかもやってる。「自殺の原因はこれか」みたいなくだらないゴシップも多い(人気映画の「パート2」に乗り気ではなかった、など)。
Here’s damning letter Robin Williams wrote to his co-star's principal after they expelled her http://t.co/VLGaGKudCj pic.twitter.com/lm2NeTGEVb
— The Independent (@Independent) August 13, 2014
@Independent your description 'damning' is highly overused. Nothing damning there.
— Louise Fagan Suvari (@Louisemavi) August 13, 2014
@Independent You seem to have gone a bit Daily Mail with the headline.
— sandro (@mrdanieladlem) August 13, 2014
こうやって、ひとつの「突然の悲報」はクリックを量産する「ゴシップ」へと変わっていき、当事者(ご遺族)は「ファン」からの「なぜ気づかなかったんだ」系の言葉の標的となり、言葉は傷つけ、傷口を開くものとなる。もちろん、「後追い自殺」も広い世界のどこかに出るだろう。特にファンじゃなくても「あんな有名な人が」という衝撃は大きい。
「解説」をどれか1本読むなら、「同じ側」にいるラッセル・ブランド(彼はLAに住んでたこともある)の文章がよいだろう。「笑いと狂気、薬物依存は紙一重」ということは、彼は自分のこととして知っている。
I wrote this about Robin Williams http://t.co/76FcojBJu3
— Russell Brand (@rustyrockets) August 12, 2014
ロンドン地下鉄、アールズコート駅のホワイトボード(ロンドン地下鉄は、「今日の言葉」みたいなのを各駅で職員が書いていることが多い。車内の広告のところにもPoetry on the Undergroundというのがあったくらい、「ことば」好きだ)。
On the London Underground ... #RIPRobinWilliams pic.twitter.com/c8YaflKdzk
— Mikey Walsh (@thatbloodyMikey) August 12, 2014
NIウォッチャーには注目のこのフィード↓。何を見ても罵倒してばかりでヘイトの煽動と陰謀論だけで構成されているようなA Tangled Webのデイヴィッド・ヴァンスも人間だったらしいということは一種の朗報だ。ただそれを知るために、ロビン・ウィリアムズの自殺などというひどいニュースが必要だったことは残念だ。
Tangled Web: Sad: Robin Williams Dies of Suspected Suicide Oscar-winning actor and comedian Robin Williams has... http://t.co/RIyevYReaZ
— Northern Ireland (@NIviews) August 12, 2014
「LAのセレブ」同士でおそらく面識はあったのではないかと思うが、デイヴィッド・ベッカムがとても素直な追悼の言葉を書いている(彼のことを「バカ丸出し」などとバカにしている日本人のアルファツイッタラーがいるそうだが、「教養がない」のと「バカ丸出し」とは違うということもわからないのは、かわいそうな人だと思う)。
David Beckham pays tribute to Robin Williams #RIPRobinWilliams pic.twitter.com/Fy0xMPJjSm
— All Things Beckham (@AllThingsBecks) August 12, 2014
ぐっと若い世代で、ゴルファーのロリー・マキロイ。
RIP Robin Williams.... He brought joy to so many people all over the world, will be fondly remembered and sadly missed.
— Rory Mcilroy (@McIlroyRory) August 11, 2014
We mourn the loss of our friend Robin Williams, who always made us laugh and smile. pic.twitter.com/UOY8LTjVRA
— Sesame Street (@sesamestreet) August 11, 2014
"In America they really do mythologize people when they die," he said in 2010 http://t.co/aiphTRmwU6 pic.twitter.com/easOGcdxYK
— The Atlantic (@TheAtlantic) August 12, 2014