災害廃棄物 受け入れ方針撤回
2011年09月01日
東日本大震災で出たがれきなどの災害廃棄物の処理について、下呂市は31日、これまでの受け入れ方針を撤回し、受け入れない方針を発表した。「住民から放射能汚染への不安が多く寄せられており、理解が得られない」と判断した。
市は同日、受け入れない方針を県に伝えた。当初は「震災復興に最大限協力する」として、年に最大7千トンの災害廃棄物を受け入れる方針だった。条件として、(1)10トントラックによる搬入(2)縦、横、高さが各30センチ以内(3)収集場所と放射能汚染されていない証明があること――を挙げ、5月までに県を通じて環境省に回答していた。
しかし、市によると、福島第一原発の事故による放射能汚染の実態が明らかになるにつれて、市民や地区の代表者らから強い懸念の声が市に寄せられるようになったという。
「放射能汚染された廃棄物が搬入されるのではないか」「放射能汚染されていない証明書があれば、絶対に大丈夫なのか。汚染されていないと言い切れるのか」といった声が多いという。
市の担当者は「いまの状況では、放射能汚染廃棄物ではないという証明があっても確証を得ることができず、住民の理解を得られない」と話している。(豊平森)
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◆災害廃棄物受け入れ 8市・5組合に減少
県によると、4月末までに災害廃棄物を受け入れ可能と回答していたのは、多治見市や瑞浪市など12市と、可茂衛生施設利用組合(可児市)など6組合。その後、大垣市と飛騨市、高山市と岐阜羽島衛生施設組合(岐阜市)が「受け入れできない」と訂正の方針を伝えたという。
http://mytown.asahi.com/gifu/news.php?k_id=22000001109010002
がれきの受け入れ待った 放射性物質を懸念
東日本大震災で発生した大量の災害廃棄物(がれき)について、国に処分の受け入れを伝えていた石川県内の4市町、4事務組合が、受け入れを当面見合わせる方針であることが、22日までに分かった。福島第1原発事故で、がれきが放射性物質に汚染されていないか懸念する声が強まっているためで、国の方針が定まらないこともあって受け入れ側の戸惑いは深まっている。
当初、受け入れを表明していたのは、金沢、輪島、加賀、能登の4市町と七尾鹿島広域圏、羽咋郡市広域圏、白山石川広域、奥能登クリーンの4事務組合。年間の受け入れ可能量は計約7万9千トン(焼却処理2万7650トン・埋め立て処理5万1280トン)に上るが、いずれも放射性物質に汚染された廃棄物の受け入れを想定していない。
被災地の復旧・復興へ、いずれの自治体もがれき処理に協力したい考えだが、放射能汚染を懸念する声は根強い。今月4日、市町の担当者を対象に、県庁で開かれた被災地のがれき処理に関する説明会では、受け入れに難色を示す声が大勢を占めたという。
そもそも、廃棄物処理法は、放射性物質で汚染された廃棄物を対象としていない。ただし、環境省は被災地のがれき処理に関して「放射性セシウム濃度が1キロ当たり8千ベクレル以下の不燃物や焼却灰は、最終処分場に埋め立てが可能」との判断を示している。
廃棄物の処理や土壌の除染措置を定める特別措置法案の国会提出も予定されているが、「受け入れは住民の理解が大前提」(加賀市)、「微量でも放射性物質が確認されれば、受け入れは考えられない」(能登町)との声が上がる。
東日本大震災で発生したがれき量は、岩手、宮城、福島の3県で推計約2263万トンで、能登半島地震の約100倍に相当する。環境省は、4月上旬、岩手、宮城、福島、茨城と沖縄を除く42都道府県を通じ、全国の市町村にがれき受け入れを打診。しかし、住民の反発に苦慮する自治体からの問い合わせが後を絶たず、廃棄物処理ははかどっていない。
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20110823101.htm