ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、プレイステーション4が発売から約9か月で全世界累計1000万台の実売を達成したことを発表しました。
1000万台は、現在PS4が販売されている100か国での実売を合計した値。発売約9か月の時点で1000万台はプレイステーションブランドのハードウェア史上最速とされています。
同世代のライバル Xbox One と比較すれば、発売直後で双方とも生産数が出荷数に直結する段階では、マイクロソフトは調査会社のデータを元に「発売週のズレを補正して米国市場だけを見れば Xbox Oneがもっとも売れた最新世代ゲーム機」と発表したり、300万台程度まではコンスタントに台数マイルストーンを誇っていました。
しかしPS4が今年4月時点で世界実売700万台を発表したのに対して、同時期の Xbox One は世界で出荷500万台を明らかにした程度でここ数か月は台数アピールも影を潜め、今回の Gamescom 2014 メディアブリーフィングでも現時点の実売数は出していません。
(日本国内でまだ発売されていないなど、PS4より販売市場が狭いことも事実といえば事実です。が、日本市場はグローバルな据え置きゲーム機ビジネスではもはや大きな市場ではないうえに、Xboxはその日本で伝統的に弱いニッチプラットフォームであることはご存じのとおり)。
大手パブリッシャーのいわゆるブロックバスター作品は前世代に続いてPCを含めたマルチプラットフォーム展開が主で、どのゲーム機でも一応は同じゲームができる状態は続いています。しかしオンラインマルチプレイゲームが主流の現在でもプラットフォームをまたいでマルチプレイができるゲームは少なく、同じゲームを買ってもゲーム機が違いオンラインサービスが違いサーバが違うから一緒に遊べない現象もまた前世代からあまり変わっていません。
(こちらはPS4で使える予定の没入型VRヘッドセット Project Morpheus 試作機。)
Xbox One が戦略のブレを指摘されつつ米国本国で勢いを保っている理由のひとつには、先代までに築かれた Xbox Liveのサービス基盤と囲い込みがあることが挙げられます。一方でプレイステーションのPSNも、原野とテーマパークを比べて「こっちは無料!」とアピールするがごとき状態だったPS3初期から追い付け追い越せで整備に努め、PS4ではコントローラの「SHARE」ボタンが象徴するように設計思想からソーシャル体験を重視するようになりました。
今回の Gamescom プレスカンファレンスで発表された新機能 Share Play のように、PSプラットフォームであることに意義がある新たなソーシャル体験が一般層にも浸透しこの勢いが持続すれば、3年目4年目の商戦を経るころには、 先代越えはもちろん、偉大な先々代プレイステーション2をも凌ぐ成功作になるかもしれません。
とはいえ、人気ゲームが遊べるプラットフォームがゲーム専用機だけでなくなったこの時代に、コモディティハードウェアを使ったプアマンズPCである据え置きコンソールで一強になることがどの程度の意義を持つのかはまた別の話。モバイルをはじめとするほかのデバイスやサービスとどの程度のシナジーを発揮できるかにかかっています。