The Economist

在外英国人:もう国には戻らない

2014.08.14(木)  The Economist

(英エコノミスト誌 2014年8月9日号)

約500万人の英国人が海外に住んでいる。英国には、野心的な在外英国人を活用するためにできることがもっとたくさんある。

英国の政治家が「グローバルな経済競争」に勝利することについて語る時(実際、よく語る)、彼らの頭にあるのはグレゴール・ウィルソン氏のようなスポーツマンだ。

 ウィルソン氏は、子供の時にコンピュータープログラムの書き方を独学で覚えた。大学の時に最初の会社を設立して育て、卒業時にその会社を売却した。ウィルソン氏の2番目の事業であるソフトウエア会社は活況を呈しており、近く人員を増やすつもりだ。彼は永遠に英国を離れる準備もしている。

英国を離れ、北米やアジアに向かう若者たち

 一般的な想像では、在外英国人は地中海で暮らす老いた退職者だ。だが2006年以降、ポンド安、スペインの不動産バブルの崩壊、フランスの増税によって、そうした海岸暮らしは魅力が薄れた。それ以来、毎年自国を離れる高齢の英国人の数は半分以下に減った。

 大手銀行HSBCの海外在住者向け部門、HSBCエクスパットの責任者ディーン・ブラックバーン氏は、今は別の種類の海外移住者が増えていると話す。北米やアジアに向かう意欲的な大卒者である。

 最も急激に増加しているのは、光り輝く東方に移住する人たちだ(図参照)。

 ウィルソン氏は香港で会社を設立する。英語が通じることや、英国の学位が評価されていることに加え、インターネットの存在がウィルソン氏のような若者に、彼らの親の世代には思いも寄らなかった機会を与えている。

 彼らはまた、親の世代より長い間、束縛されない状態でいる。平均すると、過去の世代より人生の遅い時期に家を買い、家庭を築く。

 英国家統計局(ONS)のデータによると、経済危機の直前以降、海外移住者が全体で19%減少している一方、15~24歳の若者の間では8%増えている。

 高い住宅費が、若者を海外に向かわせる一因になっている。ロンドン中心部に多少なりとも近いウサギ小屋に払う毎月の家賃で、大卒者はよそでもっとゆとりを持った生活ができる。

 「オーストラリアをあちこち旅行し、海の見えるアパー…
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