レジーのブログ

「歌は世につれ、世は歌につれ」でもなくなってきた時代に。

アイドルと自意識、アイドルの自意識18 - 夏の思い出、TOKYO IDOL FESTIVALについてのよもやま話

やっぱり楽しかったTIF、拡大基調の行方

レジー「もうすでに1週間以上前になりますが、8/2、8/3の土日に開催されたTOKYO IDOL FESTIVALに行ってきました」

司会者「8/9、8/10のロックインジャパンも挟んだのでずいぶん前に感じますね」

レジー「そうね。ひたちなかの話はまた改めて。TIFの日もロックインジャパンと重なってたんだけど、去年の楽しすぎた記憶が残ってたのであまり悩まずTIFのチケットをとりました」

司会者「去年の様子についてはこちらの記事でどうぞ

レジー「ほんと反芻しちゃうくらい楽しかったんだけど、今年もやっぱり同じくらい楽しかった。最高だなあのイベント」

司会者「行った方大体そうなってますよね」

レジー「去年も感じたこととして、あえて客観的な言い方をすると「ライブに接触にとアイドルという文化のいろんな楽しみ方が凝縮されてる」んだよね。で、今のシーンを支えてる演者とファンの近さがイベント全体で実現されてるのが素晴らしい。適度にゆるい感じで」

司会者「相変わらずアイドルがその辺にたくさんいましたね」

レジー「あれほんと良いよなあ。普通に屋台でご飯食べてたり、ライブ前後で客と同じ動線歩いてたり。ビラ配ってる人たちもいっぱい。途中ダイバーシティ行ったとき建物の中で衣装着た美少女とすれ違ったんだけどあれは誰だったんだろうか」

司会者「その距離感の象徴とも言える物販スペースですが、今年は例のAKBの事件があったせいか入口で荷物チェックが行われていました」

レジー「すごい列ができてて最初面食らったけど、思ったほどは待たされなかったかな。中入っちゃえば去年と一緒で超楽しかった。僕行ったとき吉川友が普通に接客してたよ。迫力あった。あと「演者とファンの近さ」だけじゃなくて、ファン同士の交流みたいなのもありますよね。僕も今回初めてガリバーさんと宗像明将さんに挨拶させていただきました。その節はありがとうございました」

司会者「ガリバーさんといえばSKY STAGE、湾岸スタジオの屋上にある名物ステージにいつもいる人として有名です」

レジー「あのステージ、いろんなフェスあるけどそういうの見渡しても上位に来るいいステージなんじゃないかな。お台場のビルの屋上、背景にフジテレビの球体って結構すごい絵だよね。エレベーターがなかなか来なくて渋滞したりエレベーター降りてからも階段がハードだったりと動線がしんどいけど、ほんとあそこに1日いてもいいと思っちゃう。さすがに暑いけど」

司会者「ステージの話で言うと、今年はフジテレビ本社前とダイバーシティ前にもステージが設置され、さらに去年はゼップを使っていたメインステージ扱いのHOT STAGEがフジテレビの夏のイベント「お台場新大陸」内に移りました」

レジー「結局フジ本社前は行かなかったな。ダイバーシティはちらっとだけ見たけど、普通の買い物客とかも見れるという意味では「アイドルカルチャーの日常化」みたいな話で良かったのかもしれない。ただ、HOT STAGEの風情のなさはなんとかならんかったのかね」

司会者「たどり着くまでにフジテレビ関連のイベントブースの近くを歩いていく感じになってました」

レジー「さすがに居酒屋えぐさいるとか見えてくるとちょっと気持ちが萎えた。で、今回メインステージをここに移すにあたって、公式パンフレットにこんなことが書いてありました」

今年はメインステージであるHOT STAGEを、フジテレビの夏のイベント「お台場新大陸2014 新大陸ドキドキランド」内に設置。今までのライブハウスでの開催から、野外ステージへとメインステージが移行したことで、よりフェスらしさを味わえる環境へと進化した。

司会者「やっぱ夏フェスは野外でしょ!ってことですかね」

レジー「野外がフェスにとって必須条件なのか?みたいな話は別途論じる価値があるのかもね。最近の都市型サーキットはライブハウスだけでもそれなりに「フェス感」ってあるし。それに単純に野外ステージが欲しいってことであればSMILE GARDENがあるじゃんとも思う」

司会者「フジテレビとの組み方みたいなことも含めて、今回は規模を広げる方向に行ったってことですよね。ステージ数も増えたし」

レジー「今後のこのへんの舵取りはイベントとして超重要だよね。去年TIFに行ってほんと面白かったのは、フリー入場のスペースがあるのにある種箱庭的というか、アイドルとアイドル好きな人たちだけで作られた楽園!みたいな感じがしたところなんですよ。双方によるDIYというか。去年の繰り返しになるけど感覚的にはインディーファンクラブとかに近いのかもしれない。あとエアジャムとかね。で、アイドルというものがブームから定着に至る過程で規模を大きくする、「一般層」も射程に入れるってのは至極真っ当なプロセスだと思うんだけど、ここのバランス間違えると「デカくなったけどだいぶ違うイベントになっちゃったなあ」ってことになりかねないよね」

司会者「エアジャムだと思ったらロックインジャパンになってた、的な」

レジー「今の良さを残しながら規模をでかくする、そういう方向に行ったらいいなあと思います。ここについては湾岸スタジオ周りの今あるステージを維持さえしていれば十分に実現できるのかもしれないけどね」


今年もすごかったHKT48、そして「あるべきアイドル像」と指原莉乃

司会者「特に見たいグループはあったんですか」

レジー「それはもう、去年に引き続きHKT48ですよ。さっき言ったHOT STAGEに行ったのはこの人たちの時だけだったね」



司会者「混んでましたね」

レジー「去年ゼップで見たときはわりと快適に見れた記憶があるので、場所が違うから一概には比較できないけどだいぶ状況変わったなと思った。だてにあれだけ総選挙にランクインしていないなと。自分も「HKT48のおでかけ!」見てるうちにキャラの理解が進んだので去年より楽しかった」

司会者「継続して深夜に番組やってるの大きいですよね」

レジー「うん。秋吉ちゃん大人になってる!とか」

司会者「去年と同じくAKBの曲も含めて有名曲を投げ込んできました」

レジー「今年も“言い訳Maybe”やってたんだけど、センターポジション、つまりあっちゃんのところにいるはるっぴがすごかったよ。なぜかすごいグッときた。あの人はステージ上でほんと映えるよね」

司会者「どんどん美人になっていってる気が」

レジー「ね。この前の総選挙だとHKTから選抜にはさっしーと咲良ちゃんが入って、僕も咲良ちゃんに投票したけど、来年はるっぴも選抜に入ったらいいなあと思った。」

司会者「HKTの前にはミスiD関連の人たちが出てましたね」

レジー「HKT混みそうだからちょっと早めに行って、後半から遠巻きに見てました。この中で「アイドルは処女じゃないといけない」ということをかなり直接的な表現でステージ上のミスiD候補者が言う展開があったんだけど、これのあとにHKTが出てきて、さらに「嘘をついてたこと」みたいな話の流れからなつみかんが「さっしーも彼氏いたのにいないって嘘ついてたじゃん」って突っ込んだのすごいメッセージ性があるなと思いました」

司会者「処女云々とかそういう議論が無効化されてる人が中心に立って大きくしたグループですからね」

レジー「うん。去年さっしーが選挙で1位になったとき、「「処女である」という建前がない子が1位になったことは本当に大きい、これで多くの女の子が自由になれる」みたいなツイートを見かけたんですけど。もちろんまだまだアイドルをそういう目、処女信仰ばりばりで見てる人たちはいるとは思うんだけど、実際にはもっと総合的なエンターテイメントになってきてるんじゃないかなあという印象があります。前この記事でも書いたけど、いわゆる「偶像的なアイドル」「アイドルらしさを強要されたアイドル」ってものは限りなく「想像上の生き物」になりつつあると思うし、「アイドルらしいアイドル」ですら一周回って選び取ってたりするわけで、そのあたりの状況認識を更新しないままでの「タブーに触れてやった」的スタンスはもう機能しないんじゃないかなと思った。先ほどの記事で触れている『アイドルの読み方』の著者である香月孝史さんのツイート、まさにその通りだなと」





2014年のTIF、堪能の記録

司会者「HKT以外の楽しかったアクトなどあれば」

レジー「その前にいきなり見てない人の話になっちゃうんだけど、夜のSMILE GARDENのライムべりーがすごかったそうで。結局去年も今年も夜は会場出ちゃってるからその時間の雰囲気を体験したことがないんだよね。来年こそは。で、楽しかったアクトね。もう何と言ってもラッキーカラーズですよ。運命の出会い」

司会者「大げさですね」

レジー「今回のTIFって、基本的にはあんまり計画を立てずにその場の流れで見るものを決めようと思ってたんですよ。初日はSMILE GARDENでGALETTeとダンドル見て、その後とりあえずSKY STAGE行ったんですよね。そしたらそこでたまたま見ました、ラッキーカラーズ」



司会者「曲はこんな感じなんですね」

レジー「これはちょっとカリスマドットコムみたいだよね。全体的に勢い重視の曲はなくて、ダンスナンバーって感じの雰囲気が強かった。そしてカノンちゃんの顔がタイプすぎてずっと見てしまった。そしてそのまま物販に行った」




司会者「去年のテイクオフ風花ちゃんと同じ展開ですね。たまたま見たライブで好みの子を見つけて物販に行くという」

レジー「握手は翌日行ったんだけど、CD1枚で2人と3分くらい話しました。濱野さんの地下アイドル論考の理屈でいうと「コスパがよい」ってやつだよね」



司会者「まさかこの本で語られていることの意味を体感するようになるとは」

レジー「去年のTIFの女子流の握手なんて、CD1枚で1人1秒×5って感じだったからねえ。誇張でもなんでもなく」

司会者「ラッキーカラーズですが、今年の夏はもうライブはないみたいです」

レジー「残念です。イベントをガンガンやって、って感じじゃないのかな。仮面ライダー鎧武やらめざましテレビやらにも出てるし、そもそもがティーンズモデルみたいだから歌や踊りがメインじゃないのか」

司会者「それゆえビジュアルレベルは高いですよね。夢アド的な」

レジー「またイベントあったら行きたいな。他にSKY STAGEだと、バーサスキッズっていうローティーンのアイドルの次にG☆Girlsというパンチあるお姉さんたちが出てきてここのギャップがすさまじかった」

司会者「G☆Girls出てきたら後ろの方にいた人みんな前に行きましたね」

レジー「いきなりビキニみたいな恰好で出てきたらそりゃ前行きますよ。パフォーマンスの話で言うと、SKY STAGEで見たアイドルストリートの選抜チームとSMILE GARDENで見たGEMがよかったです。あの界隈初めてちゃんと見た。ああいうしっかり踊れる人たちがダンス&ボーカルグループという看板を掲げつつも「アイドル」売りされてるのになんとなく時代を感じる」



司会者「SMILE GARDENではRev.fromDVLも見ましたね」

レジー「そう、橋本環奈ちゃん。顔そのものがかわいいというより、表情が豊かで遠くから見てもよくわかるって印象でした。あとは5月以来のTPDがやっぱりすごかったのと、リリスク→ライムベリー→クルミクロニクルの並びが当然のように良かった。こういう「何かのイベントで普通に見そうな人」はできるだけ除外してたんだけど、このかたまりはついつい足を運んでしまいました。ただ、改めて思ったけどこの辺のアイドルだけ聴いて「アイドル多様化の時代!楽しい!」とか言ってるのはやっぱり実態とずれてるよね」

司会者「2年くらい前はまさにそういうふうに言ってましたよね自分で」

レジー「ほんとお恥ずかしい話で。この人たちもあくまでも今のアイドルカルチャーの「一部」であって、そういう中で実力と運があって特定層から強烈に支持されている。で、この人たち以外にも魅力的な人たちはもちろんたくさんいて、さらに言うと「魅力的」の定義がその人のアイドルとの接し方によっていろいろ違う。そんな構造は忘れちゃいけないと思いました」

司会者「わかりました。長くなってきたので一旦今年のTIFについてざくっとまとめてもらえると」

レジー「いや、基本的には今年も超面白かったです、以上、ってことでしかないんだけど。シーンの全体観のわかる貴重なイベント、であると同時に頭溶け出してくるような楽しさのあるイベントなのでこの先もぜひ続いていってほしい。ただ、合わせて規模拡大と純度のバランスみたいなところはぜひ模索していってくれたらなあと思います」

司会者「マナー関連の問題も出てきてたみたいですし、運営として規制と自由の距離感って話は今後出てきちゃいますよね」




レジー「そうね。なんかこれは仕方ないというか、ライブカルチャーとユースカルチャーが組み合わさると同じ事が起こるってことなのかなというのが現状での感想です」





(おまけ)「TIF下北沢Queステージ」で示されたJ-POPの未来

司会者「3日は夕方にお台場を出て下北沢のQueへ行きましたね」

レジー「Shiggy Jr.のリリースパーティーに行きました。TIF帰りの人もぱらぱらいたっぽいな」



司会者「環ROYとふぇのたすとの対バンでした」

レジー「どっちも初めて見たんだけど、環ROYいきなり七尾旅人と共演した曲から始まって楽しかった。DJつきじゃなくて自分でトラック流してるの新鮮だった。ふぇのたすはShiggy Jr.と志向してるものが近いような感じがしたなあ。TIFに引きつけて考えると、アイドルブーム以降のJ-POPのあり方というか。客席とのコミュニケーションの仕方とか、あと「生楽器」「生演奏」にこだわらない感じとかも」



司会者「以前この記事でまとめた内容と近いですね。形式にとらわれず、まっすぐにポップであることが許容される時代になってるのではという」

レジー「Shiggy Jr.の“summer time”の2番繰り返しの後のサビでオケが薄くなる感じとか、最近のアイドルマナーに則ってるなとも思うし。個人的な印象として昨今の東京のアンダーグラウンドでうごめいている人たちは音楽の「縦軸」というか、これまでの音楽の流れ、歴史を意識しながら音を鳴らしている人たちが多いと思っているんですが、Shiggy Jr.とかふぇのたすは「縦軸」よりも「横軸」、今の時代の商業フィールドの動きとリンクしながら大きいところを目指そうとしてる感じがあるなあと。2日間アイドルのステージにいろいろ接してからこの2バンドを見たけど、地続きなものを感じて面白かったです。おまけなのでこのくらいで。次回は最初に言った通りロックインジャパンについてやると思います」

司会者「できるだけ早めの更新を期待しています」
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