アレックス・ストゥッブ氏がフィンランドの首相に就任して7週間。たくさんの難問に直面し、順調な滑り出しとは言いがたい。
フィンランド経済は単に景気後退にあるのではなく、不況に突入しているとの見方がエコノミストの間に浮上している。対ロシア制裁、そして逆にロシアによる制裁が同国経済に強い打撃を与え、政権が来年4月の選挙まで持つかどうかという疑問も出ている。
ノキアと紙パルプ産業の双方が経済成長と雇用の足を引っ張っている。フィンランド経済は循環的な問題に直面しているのではなく、構造的な問題を抱えるとの見方でほぼ全員が一致している。
ノルディア銀行のパシ・ソルヨネン氏は「経済は2012年から15年まで4年連続で縮小するだろう」とみる。
ストゥッブ氏は同国経済について「時間がかかるかもしれないが、いったん動き出せばすぐに速い速度に達する」と語る。ただ「妙薬はない。ビジネス環境を良くする以外、政府にできることはあまりない」と認める。
問題は山積する。フィンランドはロシアと1300キロメートルにおよぶ国境を接し、首相によると、ロシアの国内総生産(GDP)が3%下がるとフィンランドのGDPは自動的に0.5%下がる。
もう一つの問題は、政権が4月の選挙までこのまま続くかどうかだ。主要連立相手の社会民主党は支持率を急速に下げているし、緑の党は原発問題をめぐる対立で連立を離脱するかもしれないと脅しをかけている。秋の解散総選挙の可能性を指摘する声も出ている。
首相は5党連立政権を4月まで続けると強調する。ただ、彼が外相や欧州問題担当の閣僚を務めた一方で、国内問題を担当した経験を持たないことを心配する向きもビジネス界にはある。
ストゥッブ氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟が持論だ。選挙戦となればその点も争点となるだろう。
(2014年8月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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