ゴキブリ殺虫剤:「2次効果」に疑問視の研究 相次ぎ発表
毎日新聞 2014年08月13日 19時42分(最終更新 08月13日 21時55分)
◇「1匹が食べれば巣ごと全滅」のイメージ持つな
夏場の家庭を悩ませるゴキブリの殺虫剤で、毒を食べた個体のふんや死骸を仲間も食べて死ぬという「2次効果」をうたった商品について、効果を疑問視する研究結果が相次ぎ発表されている。ゴキブリは他に食べ物があれば、ふんや死骸を食べないためで、専門家は「2次効果はゼロではないが、『1匹が食べれば巣ごと全滅』というイメージは持たない方がいい」と呼び掛ける。
ゴキブリ殺虫剤は1990年代、即効性の高い毒物を餌状にした「ベイト剤」が登場し、広く普及した。多くの商品は、有毒物質を含むふんや死骸が、さらに別のゴキブリの餌となるとして、「巣ごと退治できる」と説明している。
しかし、害虫対策などを取り上げる日本衛生動物学会で、気になる実験結果が報告された。ライオン(東京都)の児玉達治研究員のグループが自社製品を使い、水や餌と一緒にベイト剤で死んだ個体のふんや死骸を置いた結果、集団の1週間後の致死率は2.5〜10%にとどまった。
田原(たばる)雄一郎・日本ペストコントロール協会技術顧問は「動物は基本的に食べ物を好み、自分のふんや死骸は餌に選ばない」と解説する。また、田原さんらの研究で、ベイト剤に使う「ヒドラメチルノン」を食べた個体は中毒を起こし、ふんをしないまま大半が死んだという。
一方、ふんや死骸を食べなくても一定の2次効果はある。児玉研究員らの実験では、食べる際に体に付いたベイト剤が床に移り、そこを盛んに通った個体の致死率は20〜45%に上った。田原氏は「家庭でベイト剤を使う場合、直接餌を食べさせることに重点を置き、少しずつ多くの場所に仕掛けるとよい」と話す。【清水健二】