想定内のGDPは「期待外れ」、市場に政策への思惑広がらず
ロイター 8月13日(水)15時9分配信
[東京 13日 ロイター] - 日本の4─6月期国内総生産(GDP)はほぼ事前予想通りとなり、警戒されていたような下振れとはならなかったが、市場に安心感は広がっていない。
在庫増や輸入減など喜べない要因が多く、景気の先行き不透明感がなお色濃く残っているためだ。「数値が下振れた方が政策期待が高まりやすい」という皮肉な市場意識の背景には、結果を出せないアベノミクスへの不満が見え隠れする。
<アベノミクスへの不満が政策期待の背景>
4─6月期の実質GDP1次速報は前期比マイナス1.7%、年率マイナス6.8%で、ロイター調査が予測した年率マイナス7.1%とはほぼ変わらなかった。水準としては東日本大震災のあった2011年1─3月期以来の大幅な落ち込みだった、市場にはマイナス幅が9%─10%にも拡大するのではないかとの警戒感も一部で出ていたこともあり、動揺は広がっていない。
投資家の間には、「期待外れ」とするムードすら出ているという。GDPの発表前には、一部の市場関係者から「下振れした方が株高・円安になりやすい」との見方が出ていたためだ。景気悪化が確認されれば、日銀追加緩和への期待感が高まるほか、10%への消費増税への警戒感が後退するとの思惑が強まる。
日本株やドル/円は、「失望」するほどの政策期待を事前に織り込んでいなかったため、反応は鈍いが、株式市場ではGDPという大きなイベントがありながら、午前の東証1部売買代金が前日(8213億円)を大きく下回る7278億円となるなど、取引のエネルギーは冷え込んでいる。GDPを受けた1日前場の日経平均<.N225>は24円高とほとんど前日比変わらず。ドル/円は102円台前半でほとんど動かなかった。
GDPの下振れを歓迎する声が市場から出るのは、アベノミクスへの不満が背景にあるためだ、とFXプライム取締役の上田眞理人氏は指摘する。「先行きの景気が改善するか全く不透明だ。経済が下向きに変わってから政策を打っても遅い。そういう不満が市場の政策期待につながっている」という。
<中身は弱い4─6月期GDP>
実際、GDPの数値自体は市場予想通りとはいえ、中身は芳しくない。懸念されていた個人消費はマイナス5.0%と事前予想のマイナス4.3%を大きく上回り、消費増税の影響の大きさを示した。「非耐久財の落ち込みが大きく、マイナスが続く実質賃金が悪影響を及ぼしているのではないか」(外資系証券エコノミスト)との懸念は強い。
在庫の寄与度が1.0%ポイントと大きかったほか、外需がプラス1.1%になり、GDPを押し上げたが、どちらも先行きを見通すうえでは警戒材料だ。
輸入が減ったのは消費増前の駆け込み需要が一巡したためだが、輸出が0.4%減と依然低迷しており、外需の改善は喜べない。在庫もは7─9月期に需要が大きく回復しなければ生産に重しとなる。在庫は1次速報では一部「仮置き」の数字であり、2次速報後に大きく変わる可能性があり、警戒が必要だ。
「民間在庫の増加は気になる。意図したものか、意図せざるものか見方は分かれるだろうが、増えたこと自体は7―9月の生産に対してネガティブに働く」と第一生命経済研究所副主任エコノミストの藤代宏一氏は指摘している。
<7─9月期GDPは過大評価の可能性>
4─6月期GDPを受けて、日銀の追加緩和や10%への消費増税に関する市場の見通しが大きく変化したわけではない。「次期のGDP統計が政策判断に大きく影響する」(マネースクウェア・ジャパン市場調査室の山岸永幸氏)とされ、市場の視線は早くも7─9月期のGDPに移っている。
だが、7─9月期のGDPも、今回と同様、景気判断を難しくする可能性が大きい。4─6月期の数値が低かったことで7─9月期の数値は高くなる、いわゆる「反動の反動」が起きる。さらに6月の消費総合指数は0.7%増と4─6月期平均を1.0%上回っており、消費は7─9月期に向けていわゆる「ゲタ」をはいた格好となっている。
「4─6月期は景気実態が過小評価されるおそれがあるが、7─9月期は逆に過大評価される可能性がある」とシティグループ証券のチーフエコノミスト、村嶋帰一氏は指摘する。
4─6月期GDPは大きな落ち込みとなったが、市場はひとまず無難に乗り切りそうだ。しかし、7─9月期のGDPで景気実態が過大評価されたまま10%への消費増税が決定され、日銀の追加緩和が見送りとなれば、先行きの景気に大きな影響を及ぼしかねないとの警戒感もじわりと広がり始めている。
(伊賀大記 編集:北松克朗)
最終更新:8月13日(水)15時9分
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