択捉島:地形図間違い…岬の位置変更、最高峰も別の山に

毎日新聞 2014年08月12日 22時11分(最終更新 08月13日 02時45分)

択捉島
択捉島

 日本の最北端である北方領土・択捉島のカモイワッカ岬が、国土地理院の従来の地形図に示された位置から南西方向へ100〜150メートルに位置することが、国土地理院による人工衛星の画像解析で分かった。同院は新たに同島の縮尺2万5000分の1の地形図を作製した。

 北方領土はロシアに実効支配されているため現地調査できない。これまでは、同院の前身である旧陸軍参謀本部陸地測量部が1922年に作製した5万分の1の地形図を基に、カモイワッカ岬は北緯45度33分28秒、東経148度45分14秒とされていた。

 ところが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち」が撮影した画像データなどを解析したところ、同岬は北緯45度33分26秒、東経148度45分08秒と判明した。

 緯度で南へ2秒、経度で西へ6秒のずれがある。緯度1秒の差は約30メートルとされ、日本の最北端は南へ数十メートルずれる。これにより、日本の排他的経済水域(EEZ)もほんの少し縮む可能性がある。

 択捉島の最高峰も、これまでは標高1587メートルの散布山(ちりっぷやま)とされていたが、南西部にある1629メートルの西単冠山(にしひとかっぷやま)と判明。散布山は5メートル低い1582メートルに、逆に西単冠山は63メートル高く修正された。

 同院基本図情報部は「地殻変動ではなく、精度の差によるもの。衛星画像は3方向から立体的に高い解像度で捉えており、より正確な地形図を作ることができた」としている。【本間浩昭】

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