【コラム】大統領をめぐるうわさ

 自分の部下に誰を起用するかという問題だけで、多くの時間や精力を無駄にした。また、これだけ論議を呼び、不信感を与えた政権もないだろう。大統領は「時代の要求に応えられる方を起用するということは、決して容易なことではなかった」と言うが、世間の人々は「あんな候補者を一体誰が推薦するのか」という目で見ている。こうして疑念が深まり、それが累積したことで、免疫力も次第に低下していったというわけだ。

 「国家の大改革」を成し遂げることを第2次内閣のテーマに掲げたものの、街頭で誰に聞いてみても、それが可能だと考えている人はいない。そんな状況を目の当たりにすると、韓国の将来に対する期待を持つのは難しい。国家の大改革を目指すのなら、大統領本人や周囲の人々の大改革を実行するのが先決だ。

 大統領は依然として、前時代のシンボル同然のキム・ギチュン秘書室長を従えている。キム室長の忠誠心や、秘書室の安定を放棄したくないからだろう。だが、キム室長がその職にとどまっている限り「大改革」に向けた大統領の意志を信じる人はいないだろう。

 また、人事を行うたびに「大統領府の門番」3人の名が世間に知られるが、大統領府の内部では平穏な日常が続いている。大統領が彼らを呼んで「少しでも誤解されるようなことや、職務を逸脱するようなことはあってはならない」と注意したという話も聞かない。それはたとえ該当者にとって気に障るようなことでも、国民に向けたメッセージという意味で必要なことだ。

 梅雨時のカビのように増殖するうわさを聞かないためにも、大統領は自らの耳をふさいではならない。カビは太陽の光に当たれば死滅するのだから。

崔普植(チェ・ボシク)記者
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