社宝:空襲避けて疎開までした「ゴーフル」のブリキ缶

毎日新聞 2014年08月13日 06時30分

戦後の復興の礎となったゴーフルの缶を磨く神戸凮月堂の下村治生社長=神戸市中央区の神戸凮月堂本店で2014年8月12日、加古信志撮影
戦後の復興の礎となったゴーフルの缶を磨く神戸凮月堂の下村治生社長=神戸市中央区の神戸凮月堂本店で2014年8月12日、加古信志撮影

 神戸市の菓子店「神戸※月堂(ふうげつどう)」で12日、戦前から唯一残る「ゴーフル」のブリキ缶を下村治生(はるお)社長(48)が磨き上げた。戦禍を逃れた社宝で、普段は二重の桐(きり)箱に納め金庫で保管されている。

 看板商品のゴーフルは1927年に考案され、缶はアールデコ調のデザインが施された円柱形。戦時中の神戸空襲を避け、祖母が疎開先に一つだけ「避難」させていた。

 戦後、同社復興の支えになり、戦争の苦しさを忘れまいと、毎年盆暮れに磨く。椿(つばき)油を使って布で汚れを落とした下村社長は「先人の思いを語り継がねば」。【神足俊輔】

 ※風の冠の中が百

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