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高額引き出しは小切手化を ニセ電話詐欺で新対策

現金の代わりに払い戻しを勧める預金小切手=長野市の長野銀行長野支店で

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 オレオレ詐欺をはじめとしたニセ電話詐欺被害が相次いでいることを受け、県警は今月、金融機関の窓口で高額な現金を引き出す高齢者に、預金小切手での払い戻しを勧める新たな対策に乗り出す。小切手は簡単に現金へ換えることはできないため、関係者は「有効な防御策になる」と期待を寄せる。

 県警はこの対策を「ヨテ作戦」と名付け、三百万円以上を一度に引き出そうとする七十五歳以上の高齢者に小切手化を勧める。金融機関は払い戻しの目的が分かる書類などがなく、現金化を強行に求める場合は、最寄りの警察署に相談し、警察官とともに事実関係を確認する。

 県警などによると、小切手は誰でも現金に換えることを防ぐため、発行時に受取人を特定する「記名式」という方法がある。記名式にすると、仮に小切手が犯人側に渡っても、換金時に身分確認などを求められ、現金化は困難になるという。

 六月末時点で県警が認知したニセ電話詐欺被害の内訳では、現金をレターパックで送ったり、手渡ししたりする手口が半数近くを締めた。小切手化は発行の手数料はかかるが、静岡など数県で実施されており、効果を上げつつあるという。

 県内では長野銀行や八十二銀行など十四の金融機関で八月中旬までに実施する。六日に県庁であった要請式で、県警の山崎晃義本部長は「被害状況はまさに非常事態。これまで以上に負担を掛けますが、一件でも多く被害を食い止めるためお願いしたい」と金融機関に呼び掛けた。

◆県内被害6億円突破

 県警があの手この手の対策を打つ一方、県内のニセ電話詐欺の被害に歯止めはかかっていない。七月末までに被害総額は六億円を突破。過去最悪の被害を出した昨年を一億円余も上回るペースだ。

 県警生活安全企画課のまとめでは、今年一〜七月末までの認知件数は百七件、被害総額は六億四千四百万円に上る。被害の手口別では、未公開株などの購入を持ち掛ける「もうかります詐欺」が二億三千万円で最も多く、子や孫になりすます「オレオレ詐欺」が一億八千万円で続く。被害者は六十代以上が八割を占めている。

 犯人グループへの送金方法は、レターパックなどでの郵送が三割、直接被害者から受け取る方法が一割強となっている。県警担当者は「グループ中核へたどり着けないよう方法を変えてきている」とみている。

 (酒井博章)

 

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