国内のキュレーションメディアの1つ「Tabi-Labo」が、アクセスを快調に伸ばしています。7月上旬にサイトブランドの変更とリニューアルを実施し、ITジャーナリストの佐々木俊尚氏を共同編集長に迎えました(※)。
※ キュレーションメディア「TABI LABO」がピボット - 佐々木俊尚氏を共同編集長に迎え、モバイル志向のカルチャーメディアに進化 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
Tabi-Laboの戦略は、バイラルメディアの「王道」
リンク先の記事にも紹介されているように、Tabi-Laboの戦略は米国のハフィントンポストやバズフィードをはじめとする海外の主要バイラルメディアの戦略を忠実になぞっています。その戦略とは、
・ページビュー(PV)やユニークユーザー数(UU)ではなく、滞留時間やリピート率といった指標に注目する
・優秀なライター、デザイナーなどを積極的に雇い入れる
・業界で情報発信力のある人を「アンバサダー」として指名し、コミュニティーをつくる
・スマートフォンからの閲覧に最適化し、年内にモバイルアプリもリリース
といったことです。そして、佐々木氏を編集長に迎え、今後は毎週1度のペースで特集記事も配信していくと説明しています。
PVやUUといった指標は、ウェブメディアの広告収入に直結する重要なパラメータです。一方、滞在時間やリピート率がいくら高くても、それだけではウェブメディアの広告収益は増えません。
また、既にウェブサイト上にはインターン学生や契約と見られる海外のライターを含め、31名ものスタッフがクレジットされています。月間PVが3000万のウェブ媒体でこれだけのスタッフを抱えるというのは、大半がインターンや契約ライターだったとしても、大変なコストでしょう。さらにその上に、300名以上の「アンバサダー」を登録し、彼らの意見を聞きながら記事を生成し編集していくというのは、大変な手間のかかることです。
Tabi-Laboはなぜわざわざ、こうしたコストのかかりそうな戦略を採っているのでしょうか。それは、これまでのこのコラムでも折にふれて説明してきたとおり、バイラルメディアが視聴者にとって「価値あるコンテンツを的確かつタイムリーに届ける」役割を果たすものだからです。
「コピペ」しかしないキュレーションメディアは消滅する
この、「価値のあるコンテンツ」を「的確かつタイムリーに届ける」というバイラルメディアの役割の中で、多くのバイラルメディアが後半の部分のみにフォーカスしているため、日本ではバイラルメディア=ソーシャルで拡散しやすいメディア、と思われているふしがあります。
強い拡散力がバイラルメディアの特徴の1つであること自体は確かですが、実はそれだけではもはやこの業界では勝てなくなりつつあります。下は、国内の主要な新興バイラル(キュレーション)メディアの、今年4〜7月のグローバル・アクセスランクの推移を示したグラフです。
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