みんぽすさんより、ずっと気になっていたレンズをお借りすることが出来ました。それがこれ、SIGMAの18-35mm F1.8 DC HSMです。大口径ズームと言えばF2.8がせいぜいのところですが、このレンズはなんと全域F1.8。これぞSIGMAの真骨頂、他にはない唯一無二のスペックをもつレンズです。APS-C専用ですがちょうど良い、まさに標準域をぴったりカバーする2倍ズームです。
売れない上に造るのに手間がかかるKマウント版はもしかしたら出ないかも?と心配していましたが、先々月にようやく発売になりました。単焦点レンズ並の明るさを手に入れたズームとなれば鬼に金棒。APS-C一眼レフにとって究極の標準レンズとなるのでしょうか?
外観を眺めてみる
まずは届いた箱を開けて中身を見てみましょう。
箱です。知らない間にSIGMAの箱のデザインが変わっていました。白地にとてもシンプルな外装。プロダクト・ライン制になってから変わったのかも知れません。
箱の中身はこんな感じ。これ以外に説明書が同梱されています。外箱以外に紙や発泡スチロールを使わず、レンズケースが緩衝材代わりになっているのもSIGMAならではのパッケージかもしれません。フードは付属しています。
レンズ本体を眺めてみましょう。事前に分かっている範囲では、恐らくこのレンズの唯一の弱点は大きさと重さです。フィルター径は72mmで全長は121mm。ズームしてもピントリングを回しても全長は全く変わりません。重量は堂々の810gと、手にするとずっしりきます。
ピントリングもズームリングも幅広で操作感もしっとりしています。鏡胴も全体につや消し仕上げで、ホールディング時に手がかかる鏡胴下側は滑り止め加工されています。
前玉側の様子。枠一杯と言うほどではないですが、かなり大玉です。光学系は12群17枚、非球面レンズが4枚に、SLDガラスが5枚という贅沢な構成です。ちなみに最短撮影距離は0.28mと、大抵の状況では十分なくらいに近寄れます。
後玉側です。マウントはもちろん金属製。KAF3マウント対応で、AF駆動はレンズ内のリング状超音波モーターです。絞りは9枚羽根の円形絞りで最小絞りはF16までと、大口径レンズらしくあまり絞れません。
ちなみにズームするとこの後玉はわずかに動いているのが分かります。
K-3につけてみる
さっそくカメラに取り付けてみましょう。
K-3に取り付けてみるとこんな感じ。2倍の標準ズームと思えばかなり大きいですし、長いです。
実際にはこうしてフードをつけて使うわけで... こうなるとまるで望遠レンズのよう。と言っても、メーカー純正のF2.8クラスのズームでも、ほぼこれと同じくらいと考えれば、その明るさの分だけ驚異的にコンパクトと言えるかも。
やはり鞄に収めるには長さがちょっと気になります。またストラップを肩にかけておくにはその重さがずっしりと響きます。カメラのマウントにも何となく気を遣いたくなります。
他のレンズと並べてみる
順番がやや前後したかも知れませんが、私の手持ちのレンズの中でライバルとなりそうな2本を選んで並べてみました。
まずはHD DA20-40mmF2.8-4です。似たような焦点域の2倍ズームですが、開放F値はワイド端で1.3段、テレ端では2.3段違うわけで、ライバルにはなり得なさそう。大きさもこの通り違いすぎるくらい違います。
こっちの方が比較の意味がありそうです。FA31mmF1.8ALと並べてみました。明るさと焦点域は完全に被っています。同じ明るさをもちつつ、ズームできるようにするとこれだけ姿は変わってしまうと。どっちを取るかは、なかなか悩みどころです。
さらにPENTAX純正では最も直接的なライバルになりそうなDA★16-50mmF2.8は残念ながら持っていないので比較できません。明るさは1.3段暗く、しかしズームレンジは広く、大きさは一回りずつくらいDA★16-50mmのほうが小さくて軽いです。ニコンやキヤノンのAPS-C用大口径ズームも似たようなもの。フルサイズ対応のいわゆる大三元系の標準ズームと比べると、大きさ重さは良い勝負となります。
ということで、いずれにしろ標準ズームとしては最大級、最重量級に変わりはありません。しかし「全域F1.8」という唯一無二のスペックが、すべてを納得させてしまいます。
とりあえず何枚か撮ってみる
真夏の炎天下に鮮やかな白さを見せる、その名も初雪草。少し空を仰ぎ気味ですが、すっきり写りますね。
夏と言えばひまわり。望遠端で結構近寄り気味ですが、ややピントが怪しいかも。そのせいか、黄色い花びらの周囲にやや色つきが見られます。Lightroomで簡単に消せますが、とりあえずこのサンプルはそのままにしておきました。
同じくひまわり。種類はちょっと違いますが。左上にもうすぐ太陽がある、という状況ですが、目立つゴーストもないし抜けは良くてなかなか頑張ってます。さすが最新設計のレンズです。
夏と言えば蝉。近所の公園にはわりと大きな鬱蒼とした森があるのですが、蝉だらけでした。玉ボケというには状況がちょっと違うようですが、ワサワサしたうるさい背景も綺麗に溶け込みます。さすがF1.8。
この公園にはぶどうの樹まであります。しかし特に収穫を目的としているわけではないらしく、虫や鳥に食べられ放題、地面に落下し放題の野生なぶどう。これも葉っぱの隙間から日が差して輝度差が大きいシーンですが、コントラストには問題ありません。
なんか逆光意地悪試験ばかりしているみたいですが、そういうつもりではありません。夏は何かと青い空を写したくなるんですよね(^^;
非純正レンズと言うことで、レンズ収差補正が使えないわけで、その点色々と不利なところもあるかと思います。とりあえず歪曲はどうでしょうか?これでワイド端の18mmですが若干の樽型? 水平線を撮ってこれなら全然問題ないと思います。