戦争は人類の歴史上で絶えず繰り返され、現在も行われている。そうした戦争のため、世界の武器市場も成長を続けてきた。今、世界の武器市場は主に米国、ドイツ、英国、フランス、ロシアなど戦争を経験した大国が掌握しており、これらの国が防衛産業市場の90%以上を握っている。
韓国は6・25戦争(朝鮮戦争)、ベトナムへの派兵、イラク戦争への参戦などを経験したが、防衛産業市場での存在感はまだそれほど大きくない。1975年にフィリピンにM1小銃の弾薬を輸出して以来、約40年がたった2013年に34億ドル(約3470億円)の防衛装備品輸出を達成し、世界の注目を浴びるようになった。李明博(イ・ミョンバク)政権では国を挙げて武器輸出を後押しし、輸出領域を航空機や潜水艦にまで拡大した。
朴槿恵(パク・クンヘ)政権も武器輸出にさらなる支援を行い、政府が掲げる創造経済の一つの軸として防衛装備品の輸出を奨励している。だが、そこへ日本という予想外の伏兵が現れた。日本も最近になって防衛産業を国の戦略事業に育成しようとしているのだ。日本政府は今年4月、武器や関連技術の輸出を基本的に禁じてきた「武器輸出三原則」を47年ぶりに全面的に見直して「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、一定の条件を満たせば武器を輸出できるようにした。7月からは迎撃ミサイルに搭載する高性能センサーを米国に輸出する。
これはほんの始まりにすぎない。日本はこれまで武器を輸出しておらず、防衛装備品の輸出では韓国が優位に立っていたが、今では状況が変わった。日本の防衛装備品の製造能力は世界最高レベルだ。例えば、韓国が輸出を最終的な目標に掲げて開発を進めている潜水艦の場合、日本は韓国よりも78年早く建造・運用を始め、高い技術を持っている。日本は6月、フランスと無人潜水機を、ドイツと戦車をそれぞれ共同開発するため協議を始めた。オーストラリアとも数十億ドル(数千億円)規模の潜水艦技術移転契約を推進している。
日本は潜水艦だけで韓国の防衛装備品の輸出総額を上回るほどの契約を結ぶため、こうした状況を黙って見ているわけにはいかない。これまで韓国が順調に輸出を行っていたアジアや中東などの武器市場に強敵が現れたことをきちんと認識し、警戒していく必要がある。防衛装備品の輸出で日本の追撃をかわし、優位をキープするために、官民と軍が一枚岩となって知恵を絞るべきだ。国防部(省に相当)と傘下の防衛事業庁は軍、研究所、企業が参加する防衛装備品の輸出促進に向けた常設機関を設立し、世界市場へのセールスに力を入れてほしい。今や防衛産業は自主防衛のためだけでなく、子孫たちの雇用を創出するための成長エンジンとして育成していかねばならない。