防衛技術:共同研究が急増…大学・研究機関、抵抗薄れ
毎日新聞 2014年08月12日 07時20分(最終更新 08月12日 09時46分)
防衛技術などの発展に資する外部の研究を取り込もうと、防衛省が進める大学や研究機関との共同研究が、近年急増している。同省によると、2001年度に始まって以降、共同研究の協定はこれまでに8大学・11機関との間で計27件結ばれ、うち10件が昨年度の1年間に集中している。【平和取材班】
最初の協定は01年度に1件結ばれたが、その後10年間は年間0〜3件と低迷。だが12年度は4件、13年度には10件と急増した。テーマは爆薬検知やロボット、赤外線センサー技術など多岐にわたる。
同省技術研究本部は「省の研究費には予算の制約があり、相手の大学も同様で、互いに補い合うことが増えていくだろう」と共同研究のメリットを強調する。
政府が昨年末に決めた防衛計画の大綱も、「大学や研究機関との連携充実で、防衛にも応用可能な民生技術の積極的な活用に努める」と後押しする。
大学の共同研究受け入れの背景について、この問題に詳しい赤井純治・新潟大名誉教授(鉱物学)は「国公立大の法人化後、国からの運営費交付金が毎年減らされている。研究者は少ない研究費で研究を進めるために、防衛省が相手でも行おうとする」と分析する。
大学の場合、戦後しばらく軍事研究や防衛省への協力に抵抗感があったが、近年急速に薄れつつある。
主要国立7大学で今も軍事研究を実質的に禁止しているのは、東京大と大阪大のみ。防衛省は「反対する大学は今もあるが、研究者個人の理解は進みつつある」と期待を寄せている。