国際的な監視技術会社であるGamma Groupから何者かによって漏洩した機密文書によりますと、各国の警察、政府、情報機関などに提供されたFinSpyと呼ばれる監視用マルウエアキットにより、Androidユーザーは知らぬ間に監視の対象になっているようですが、iPhoneユーザーは、ジェイルブレイク(いわゆる脱獄)していなければ、このマルウエアには感染しないようです。
マルウエアにより遠隔操作であらゆる操作が可能に
今回リークされた書類の一部から、FinSpy Mobileと呼ばれるソフトウエアを利用することにより、警察、政府、情報機関は携帯電話やタブレットに遠隔でアクセスし、モニタリングが可能で、以下のすべての操作も可能になるとしています。
・通話と通信へのアクセス: 電話、SMS、MMSなど
・保存データへのアクセス: 端末とSIMに保存されている連絡先情報
・端末の監視: 無着信音により架電し、マイクを通じての盗聴
・位置情報の取得: 端末の位置情報データのモニタリングとトレース
iOS以外のほとんどのプラットフォームに対応
このソフトウエアは定期的にアップデートされており、現在、以下の表にある通り、最新バージョンを含むすべてのAndroid端末、BlackBerryのBB10以前のバージョン、そしてSymbianとWindows Mobileに対応しているようです。
まるでドラマのような悪用が可能
ワシントン・ポストによりますと、FinSpy Mobileは対象とする携帯端末の位置を追跡し、マイクを起動し盗聴することが可能で、連絡先情報にアクセスでき、電話の通話内容を聞くこともできるとしています。しかし、iPhoneの場合はアップルのセキュリティを無効にすることになる、ジェイルブレイクされていなければ、このソフトウェアは機能しないと伝えています。
このソフトウエアが機能しないのはiPhoneのユーザーとアップルにとっては非常に良いニュースと言えます。一方、世界的に普及し標準的なプラットフォームとなりつつあるGoogleのAndroidユーザーには頭の痛いニュースであり、Android端末は安価なのが利点ですが、明らかに警察や政府、情報機関による遠隔操作を受けやすいとも伝えています。
ワシントン・ポストはまた、AndroidとiOSの間にはセキュリティに対する考え方に大きな溝があり、自由主義の立場に立ち、政府による監視の乱用の可能性を強く危惧する人たちは、アップル製品を好んで購入し利用していると伝えています。
日本をはじめ、世界各国で利用されている
今回のFinSpy Mobileは日本でも利用されているといわれており、先日お伝えしたテロネットワークのアルカイーダもAndroidをターゲットにマルウエアを仕掛けていることも考えると、筆者もiPhoneのほかにAndroid端末を一台使用していますが、ユーザーとしては少し心配になりますね。
特にプライバシーが心配な方はジェイルブレイクしていないiPhoneの利用をおすすめします。
参照元 : Apple Insider
執 筆 : リンゴバックス