まんだらけ:万引き写真 13日午前0時モザイク取る意向

毎日新聞 2014年08月12日 20時57分(最終更新 08月12日 21時38分)

 古い玩具や漫画などを販売する古物商「まんだらけ」(東京都中野区)が、万引きをしたとされる男性に、商品を返さなければ防犯カメラの画像をホームページ(HP)で公開すると警告していた問題で、同社は12日、「返却期限」とした13日午前0時に予定通り画像を公開する意向を改めて示した。万引き対策として理解を示す声がある一方で、窃盗容疑で捜査している警視庁は「容疑者の逃亡など捜査に支障が出る恐れがある」と中止を要請し、波紋が広がっている。

 同社によると、4日午後5時ごろ、中野店4階の店舗で、ゼンマイで動くブリキ製の玩具「鉄人28号」(販売価格25万円)が盗まれた。同社は翌5日、顔にモザイクをかけた「万引き犯」とみられる男性の画像をHPに掲載し、「1週間以内に返しに来ない場合はモザイクを外して公開する」と警告した。

 インターネット上の中傷問題に詳しい清水陽平弁護士は「法治国家では私的制裁を加える私刑は禁止で、やり過ぎだ」と話す。民間企業が容疑者の画像を公開することは、名誉毀損(きそん)罪に当たる可能性もあるとし「犯罪抑止のためなら公益性が認められるだろうが、懲らしめなど私的な恨みを晴らすのが目的なら違法の恐れがある」と語る。

 一方で、画像公開は捜査側には大きな武器だ。警視庁によると、2012年2月以降、画像を公開した56事件中20事件で容疑者が摘発された。先月あった強制わいせつ事件では、公開画像を見た容疑者の男が翌日出頭した。「すぐに自分だと分かると思った」と供述したという。

 NPO法人「全国万引犯罪防止機構」(東京)の福井昂(こう)事務局長は「まんだらけの対応の是非は判断が難しいが、やむにやまれぬ状況でもある」と同情的だ。全国のスーパーや書店など550社から回答を得た実態調査では、万引きの推計被害額は13年度だけで837億円で警察庁統計の約30倍に達した。被害届を出していないケースまで含めているためで、同機構は「より実態を反映している」と話す。

 まんだらけの客のさいたま市の男子大学生(21)は「自衛策として理解できる」。中野区の女性会社員(29)は「公開処刑だ」と批判した。【松本惇、山崎征克、神保圭作】

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