きょうにも地下水試験くみ上げ 福島第1
福島第1原発の汚染水対策として建屋周辺の井戸「サブドレン」や敷地海側から地下水をくみ上げて浄化した上で海に放出する計画で、東京電力は11日、海への排水設備の設置を原子力規制委員会に申請した。試験的なくみ上げを12日にも開始し、20日にもくみ上げた水を使って浄化設備の性能試験を実施する。
東電は、浄化後の地下水を原発の港湾内まで移送する配管やポンプを新設する予定。申請に先立ち、原発周辺自治体などに計画の概要を説明しているが、海への放出は「地元の了解を得られない限り、実施しない」としている。
試験は2日間で14本の井戸から地下水をくみ上げ、いったんタンクにためた後、新たに整備した浄化設備に通し放射性物質濃度の変化をみる。
汚染水対策では、山側の地下水をくみ上げて海に流す「地下水バイパス」が5月に始まったばかり。浄化するとはいえ建屋近くで一度汚染された地下水を放出するのは初めて。東電は、性能試験の結果を踏まえて地元漁業者への正式な説明会を開くとしているが、風評被害への懸念から反発が予想される。
第1原発では原子炉建屋に1日約400トンの地下水が流れ込んで放射性物質に触れ、汚染水として増え続けている。東電は、サブドレンの稼働で流入量を1日約200トン減らせると見込んでいる。くみ上げた地下水からほとんどの放射性物質を取り除き、排出基準を満たした上で海へ流したい考え。
サブドレンは事故前からあった設備で、1〜4号機建屋の周囲に掘った57本の井戸で地下水をくみ上げて地下水位をコントロールしていた。津波などで故障したが、東電は27本の井戸を復旧し、15本を新設した。
2014年08月12日火曜日