センバツV・龍谷大平安、75年ぶりに夏開幕戦で散る…
◆第96回全国高校野球選手権大会第1日 ▽1回戦 龍谷大平安1―5春日部共栄(11日・甲子園)
史上8校目の春夏連覇を狙った龍谷大平安(京都)が春日部共栄(埼玉)に敗れ、初戦で姿を消した。センバツ王者が開幕戦で敗れるのは、1939年の東邦商(現東邦)以来75年ぶり。まさかの敗戦に、原田英彦監督(54)は涙。富山商はプロ注目左腕の森田駿哉(3年)が、日大鶴ケ丘(西東京)を6安打完封。敦賀気比(福井)は21安打16点の猛攻で坂出商(香川)を圧倒し、2回戦進出を決めた。
愛する「平安」を勝たせられなかった。まさかの初戦敗退で、史上8校目の春夏連覇は夢に消えた。原田監督は「選手は(連覇の)期待を持たせてくれた。責められることは何もない」と涙を拭った。
先発の左腕・元氏玲仁(もとうじ・れいじ)は、初回に5安打を許すなど1死しか取れず5失点で降板。同監督は「外で練習ができなかったのが唯一の不安だった」と、打線も散発7安打で7回に1点を返すのがやっとだった。台風11号の影響で2日間順延。今春センバツを制した自慢の打線は不完全燃焼で終わった。
「平安」が一丸となり、春夏連覇を目指した。センバツV後の4月6日、長男・力斗さん(25)の結婚式を終えた原田監督が、力斗さんの提案したサプライズを受けた。同校野球部練習場に選手が花道をつくり、家族や教え子ら約50人が出迎え、同監督を胴上げ。社会人時代の背番号にちなんで、25回も宙を舞った。そんな指揮官は選手の盾になった。春季近畿大会準決勝(対報徳学園)で敗れると、今夏の京都大会でもミスが目立った。不満が募ったOBからはもっと練習を厳しくすべきと非難の声も出たが、指揮官は矢面に立ち、選手たちをかばい続けた。
それでも念願かなわず敗北。4月に亡くなった祖母に買ってもらったグラブを手に、マウンドに立った元氏も「連覇したかったけど、僕の力が足りない。人生で一番悔しい」と目を潤ませた。今夏は期待に応えられなかった原田監督は「選手はよくやった。本当にありがとう」。今春、栄光を勝ち取ったナインに感謝し、夏に別れを告げた。(浜田 洋平)