野洲市の広報誌で当社のイラスト3点が無断で転載される事案が発生し、何回かのやりとりの後に、印刷物とPDFへの使用料と規定の調査費を合わせ計295,000円を請求した。
その後、使用料の支出について野洲市議会で討議され、市議会の議事録に載った市の関係者と僕のコメントが、2014年7月15日付の京都新聞に掲載された。

(画面でクリックで拡大表示)
しかし、どうも釈然としない。
そもそも一度の謝罪もなく「誠意をもって対応」してもらってない。
それに、野洲市の職員は、本当に当社の“3点”のイラストにアクセスするのに、「無料・イラスト・テーマ」(「テーマ」は多分「クジラ」とか「家族」といったコアのキーワードだろう)というキーワードで検索したのか?
アートバンクでは、「いわゆるフリー素材」の販売サイトと違って、コンテンツは「無料」とか「フリー」とかいうキーワードでは極力ヒットしないようにしている。仮に「無料」というキーワードを付けてヒットしたとしても、それを「勝手に使える無料の画像」だと考えるのは社会人の思考ではないが・・・。
第一、こんなキーワードで検索したものだとは、市の担当者はこれまで一度も言わなかった。一年以上前に、何気なくPCで検索したキーワードを、よく思い出したものだと感心する。
それに、「有料なら『サンプル加工』などの表示がある」というのも全く根拠のない誤認識。
野洲市に限らず、どこの自治体や企業や個人のサイトも、大抵「著作権について」の注意事項が書かれている。それはそのサイトに来て、その注意事項を読んでくれるということを前提にしているわけだが、かと言ってそこで掲載している画像に透かしが入っているわけではなく、またそれが法律で義務付けられているわけでもない。
閲覧者がサイト内のコンテンツに辿りつく道筋は様々で、必ずしもTOP頁から入って、注意事項を読んでくれるわけではなく、多くは直接生のコンテンツに辿りつく。もし、このことによって生じる事柄の全てに、作品を公開する側が責任を負わなければならないなら、自由に作品を公開することすらできなくなる。
そもそも全ての著作物は、透かしの有無に拘わらず法律によって保護されており、著作者の死後50年を経過したものや、自由利用マーク「http://www.bunka.go.jp/jiyuriyo/」
などの特別な表示が無い限り、私的利用の範囲を超えて勝手に使うことはできない。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no23/net/net.htm
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/haiteku/haiteku/haiteku46.htm
当社の作品(CG合成作品)の表示例↓

(詳細は下記URLをクリックしてください)
http://www.artbank.co.jp/stockillust/image_html/miraikobo/1-S-AMG222.html
もうひとつ、非常に不愉快だったのは
この野洲市の職員が議会で言った「無料・イラスト」で検索した結果、当社のイラストが表示されたという、俄かには信用しがたい経緯の報告のお陰で、まるで当社が、そのようなキーワードで検索に引っかかるように操作しているのではないか、という疑念を抱く人がいるらしいと知ったことだ。
これは、はっきり言って会社の信用にかかわる。
電話が鳴った。
こんどは朝日新聞大津総局の記者さんから。
今日の京都新聞を読み、二番手ではあるがこの件を取材していると。で、午前中いっぱいかかって、市のコメントにあるキーワードで色々なサーチエンジンの画像検索サービスで検索かけたけど、当社のイラストは出なかったとのこと。
「それ、ウソですよ。そんなキーワードじゃ出ません。
「こういうことって、結構多いんですか?
「増えてきましたね。昔は、イラストは盗作される事が多かったんですけど、最近はその手間も惜しんで、印刷物やサイトからそのまま転写してます。
「対策は?
「先ず、『無料』とか『フリー』とかいうキーワードではヒットしないようにしています。完全に回避するのは無理ですけど、そのキーワードを付け加えたら殆どヒットしません。
ほんとに、ちゃんと手続きを踏んで気持ち良く仕事させてほしいですよ。
その翌日、朝日新聞の滋賀県版に下の記事が載った。

(画面でクリックで拡大表示)
しかし、自分たちがしでかした不祥事の解決に市民の血税を充てることに、野洲市の職員は何の躊躇いもなく疑問も感じないのか?
法律論は解らないが、一市民の感覚としてこういう場合、「実行行為者」「その直属の上司」「全ての管理責任を負う市長」この三者で負担すべきものだと思う。それでこそプロであり、日本人ではないのか?
これが僕の、市民としての感覚だ。
それから、僕は、アートバンクと言う写真エージェンシーを26年間経営しているが、経営者である前に一人のクリエーターとして、言っておきたいことがある。
イラストの技法は様々だが、ちゃんとした作品を一から仕上げるには、相当の時間とエネルギーを要する。工房の設備投資や、給料や、社会保障や、家賃も必要だ。
「いい仕事が出来る人を見つけ出す苦労」、実はこれがいちばん重要なのだが、とりあえずそのコストはさておき、特に時間等のコストを要した作品のなかに【イラスト制作の基本プロセス】が凝縮されているので説明したい。例えば↓の立体作品の場合、

①イメージを熟成する時間⇒②全体像のイメージスケッチを元にコンセプト会議⇒カラーイメージラフ数点決定⇒④工房にて試作開始⇒⑤本制作開始⇒⑥原型完成⇒⑦乾燥⇒⑧エアーブラシと筆で着色⇒⑨乾燥・完成⇒⑩スタジオ撮影⇒⑪画像補正などのデジタル処理。
これで、約1か月の仕事だ。
完成したこの孫悟空は、足元の雲が無い状態でも、支えなしでバランスよく立った。
僕は、精魂込めて作られたこの作品に、透かしを入れたいとは思わない。
それは、ネット上で絵画や写真を展示している多くのクリエーターたちの想いと同じだ。
そして、当社のルールに基づき、ちゃんとした手続きを経て、この作品を活かしてくれるお客様を大切にしている。
よく巷で「ネットで拾った」何々という言葉を聞くが、そういう言葉を発する人々は、ものを創り出す苦労とその歓びを知らないのだと思う。そしてその歓びを知らない人々が増えていくことは、国の将来にとっても良いことではない。
その後、使用料の支出について野洲市議会で討議され、市議会の議事録に載った市の関係者と僕のコメントが、2014年7月15日付の京都新聞に掲載された。
(画面でクリックで拡大表示)
しかし、どうも釈然としない。
そもそも一度の謝罪もなく「誠意をもって対応」してもらってない。
それに、野洲市の職員は、本当に当社の“3点”のイラストにアクセスするのに、「無料・イラスト・テーマ」(「テーマ」は多分「クジラ」とか「家族」といったコアのキーワードだろう)というキーワードで検索したのか?
アートバンクでは、「いわゆるフリー素材」の販売サイトと違って、コンテンツは「無料」とか「フリー」とかいうキーワードでは極力ヒットしないようにしている。仮に「無料」というキーワードを付けてヒットしたとしても、それを「勝手に使える無料の画像」だと考えるのは社会人の思考ではないが・・・。
第一、こんなキーワードで検索したものだとは、市の担当者はこれまで一度も言わなかった。一年以上前に、何気なくPCで検索したキーワードを、よく思い出したものだと感心する。
それに、「有料なら『サンプル加工』などの表示がある」というのも全く根拠のない誤認識。
野洲市に限らず、どこの自治体や企業や個人のサイトも、大抵「著作権について」の注意事項が書かれている。それはそのサイトに来て、その注意事項を読んでくれるということを前提にしているわけだが、かと言ってそこで掲載している画像に透かしが入っているわけではなく、またそれが法律で義務付けられているわけでもない。
閲覧者がサイト内のコンテンツに辿りつく道筋は様々で、必ずしもTOP頁から入って、注意事項を読んでくれるわけではなく、多くは直接生のコンテンツに辿りつく。もし、このことによって生じる事柄の全てに、作品を公開する側が責任を負わなければならないなら、自由に作品を公開することすらできなくなる。
そもそも全ての著作物は、透かしの有無に拘わらず法律によって保護されており、著作者の死後50年を経過したものや、自由利用マーク「http://www.bunka.go.jp/jiyuriyo/」
などの特別な表示が無い限り、私的利用の範囲を超えて勝手に使うことはできない。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no23/net/net.htm
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/haiteku/haiteku/haiteku46.htm
当社の作品(CG合成作品)の表示例↓
(詳細は下記URLをクリックしてください)
http://www.artbank.co.jp/stockillust/image_html/miraikobo/1-S-AMG222.html
もうひとつ、非常に不愉快だったのは
この野洲市の職員が議会で言った「無料・イラスト」で検索した結果、当社のイラストが表示されたという、俄かには信用しがたい経緯の報告のお陰で、まるで当社が、そのようなキーワードで検索に引っかかるように操作しているのではないか、という疑念を抱く人がいるらしいと知ったことだ。
これは、はっきり言って会社の信用にかかわる。
電話が鳴った。
こんどは朝日新聞大津総局の記者さんから。
今日の京都新聞を読み、二番手ではあるがこの件を取材していると。で、午前中いっぱいかかって、市のコメントにあるキーワードで色々なサーチエンジンの画像検索サービスで検索かけたけど、当社のイラストは出なかったとのこと。
「それ、ウソですよ。そんなキーワードじゃ出ません。
「こういうことって、結構多いんですか?
「増えてきましたね。昔は、イラストは盗作される事が多かったんですけど、最近はその手間も惜しんで、印刷物やサイトからそのまま転写してます。
「対策は?
「先ず、『無料』とか『フリー』とかいうキーワードではヒットしないようにしています。完全に回避するのは無理ですけど、そのキーワードを付け加えたら殆どヒットしません。
ほんとに、ちゃんと手続きを踏んで気持ち良く仕事させてほしいですよ。
その翌日、朝日新聞の滋賀県版に下の記事が載った。
(画面でクリックで拡大表示)
しかし、自分たちがしでかした不祥事の解決に市民の血税を充てることに、野洲市の職員は何の躊躇いもなく疑問も感じないのか?
法律論は解らないが、一市民の感覚としてこういう場合、「実行行為者」「その直属の上司」「全ての管理責任を負う市長」この三者で負担すべきものだと思う。それでこそプロであり、日本人ではないのか?
これが僕の、市民としての感覚だ。
それから、僕は、アートバンクと言う写真エージェンシーを26年間経営しているが、経営者である前に一人のクリエーターとして、言っておきたいことがある。
イラストの技法は様々だが、ちゃんとした作品を一から仕上げるには、相当の時間とエネルギーを要する。工房の設備投資や、給料や、社会保障や、家賃も必要だ。
「いい仕事が出来る人を見つけ出す苦労」、実はこれがいちばん重要なのだが、とりあえずそのコストはさておき、特に時間等のコストを要した作品のなかに【イラスト制作の基本プロセス】が凝縮されているので説明したい。例えば↓の立体作品の場合、
①イメージを熟成する時間⇒②全体像のイメージスケッチを元にコンセプト会議⇒カラーイメージラフ数点決定⇒④工房にて試作開始⇒⑤本制作開始⇒⑥原型完成⇒⑦乾燥⇒⑧エアーブラシと筆で着色⇒⑨乾燥・完成⇒⑩スタジオ撮影⇒⑪画像補正などのデジタル処理。
これで、約1か月の仕事だ。
完成したこの孫悟空は、足元の雲が無い状態でも、支えなしでバランスよく立った。
僕は、精魂込めて作られたこの作品に、透かしを入れたいとは思わない。
それは、ネット上で絵画や写真を展示している多くのクリエーターたちの想いと同じだ。
そして、当社のルールに基づき、ちゃんとした手続きを経て、この作品を活かしてくれるお客様を大切にしている。
よく巷で「ネットで拾った」何々という言葉を聞くが、そういう言葉を発する人々は、ものを創り出す苦労とその歓びを知らないのだと思う。そしてその歓びを知らない人々が増えていくことは、国の将来にとっても良いことではない。
・・・・・・以下8月8日追記・・・・・・
しかし、イラストのエージェンシーを立ち上げてこれまでやってきたことを振り返り、その上で著作権を取り巻く今の環境を考えたら、これは行くところまで行くしかないな。
著作権に対する社会全体の意識・認識を根本から改めるところまでやる以外に、筋の通った問題解決の道はないと思う。新聞・TV報道大いに結構、官が変われば民も変わる。
「平成のプラーゲ」になるか。
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