折尾の青春の味「特チャン」復活 折尾はちまん青年団 [福岡県]
JR折尾駅(八幡西区)そばで約40年にわたり若者らに愛され、2008年に閉店した橋本食堂の名物だった特製チャンポン「特チャン」を生かした町おこしに、地元のまちづくり団体が取り組んでいる。自分たちで味を再現し、元店主のお墨付きも得た。メンバーが営む居酒屋で提供し、夏祭りなどのイベントにも出店する。懐かしい青春の味の“復活”として話題を呼んでいる。
橋本食堂は折尾駅前の堀川沿いで1970年ごろから、橋本大陸さん(73)と妻の広子さんが切り盛りしてきた。特チャンは、中華だしと和風だしを合わせた薄味で、豚肉やタマネギなどの具材に加え、かたくり粉でとろみを付けたあんが特徴。長年、180円と安かったこともあり、周辺の高校生や短大の学生らに愛される看板メニューだった。しかし08年、広子さんが亡くなったのを機に、惜しまれながら閉店した。
“復活”させたのは、地元の飲食店主など20~40代の13人でつくるまちづくり団体「折尾はちまん青年団」。昨秋の発足以降、メンバーの一人で、高校時代に週4回ほど橋本食堂に通っていたという八幡西区友田の居酒屋「燗晩娘(かんばんむすめ)」の店主堀崎恵子さん(48)を中心に、当時の味を思い出しながら試行錯誤を繰り返し、納得できる味に仕上げた。
堀崎さんは5月、橋本さんに特チャンを町おこしに生かしたい、という思いを伝え、名前を継ぐことを快諾された。橋本さんは「放課後ひっきりなしにやってくる若者との触れ合いがやりがいだった。復活の知らせを喜んでくれる人がいればうれしい」と目を細める。
6月上旬から「燗晩娘」で夜に提供を始め、7月29日からは昼にも1杯300円で出す。今後、まちづくり団体として、地元の夏祭りなどのイベントにも出店する。堀崎さんは「昔のように地元の人に愛される新しい名物になるよう、仲間とPRしたい」と張り切っている。
=2014/07/29付 西日本新聞朝刊=