京都大:買い物客を無断撮影 研究プロジェクトで

毎日新聞 2014年08月12日 11時37分(最終更新 08月12日 12時03分)

 京都大学術情報メディアセンター(京都市左京区)が、研究プロジェクトのため京都市内の商業施設に人物照合用のカメラを設置し、約3年半にわたり、買い物客に無断で撮影を続けていたことが12日、大学への取材で分かった。同センターの岡部寿男(やすお)センター長は「(カメラ動作中の)掲示を失念しただけでなくチェックする体制も甘く、長期間に及んだことは恥ずかしい話。再発防止に努めたい」と話している。

 京都大によると、プロジェクトは文部科学省の公募事業で、さまざまな環境下でカメラで撮影された特定の人物を画像として検索、追跡する技術の確立が目的。京都大、東京大、名古屋大、電子機器大手オムロンの子会社「オムロンソーシアルソリューションズ」が参画している。

 京都大学術情報メディアセンターは2010年9月から、複合商業施設「新風館」(京都市中京区)に設置した34台で、来館者を撮影。服装から人物を識別する実証実験を続けていた。京大と施設側は、撮影していることが買い物客に分かるよう掲示を出すなど来館者のプライバシーに配慮するよう事前に覚書を交わしていたが、システム調整などに手間取るうちに失念したという。

 今年3月に点検で掲示漏れが分かり、4月22日に「カメラ動作中」の掲示を出した。表示していなかった時期に撮影した映像は研究には使わず、適切な時期に消去するという。【花澤茂人】

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