唾液を採取するDeNAの遺伝子検査キット(東京都港区の東京大医科学研究所)
ヤフーやディー・エヌ・エー(DeNA)などのインターネット企業が相次いで遺伝子解析ビジネスに参入している。各社は大量のデータの取り扱いなどの経験を生かせると考えており、DNAを突破口に、健康関連の巨大市場をデジタルのノウハウで切り崩す構えだ。一方、親子の血縁関係を確かめるDNA鑑定を巡って、さまざまな問題が起きると懸念する声もある。
■健康管理をビジネスに
「遺伝子解析ビジネスにネットを組み合わせることで新しい付加価値を生み出せる」。都内の記者会見で、DeNA創業者の南場智子取締役は強調した。
ヤフーは遺伝子解析ベンチャーのジーンクエスト(東京・文京)と組み、今秋にサービスに参入する。6月5日からは無料モニターの募集を始める。解析サービスのほか、遺伝子情報とスマートフォン(スマホ)などで計測した脈拍や血圧などの情報を組み合わせ、運動量や食生活をアドバイスする健康管理サービスも提供。
ネット企業、狙うは遺伝子 DeNAがDNA解析に参入発表(6月4日)
■DeNAの南場取締役が語る狙い
遺伝子解析サービスについて発表後、手を合わせる(左から)ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子取締役、東大医科学研究所の清野宏所長、宮野悟教授(2014年6月3日、東京都港区)
私個人で言えば、2011年6月に社長を退任し夫の闘病を助けてきた。夫の病気は手術して生き残れるかどうかというほど重篤で、容体が落ち着くと、なぜ40歳代で病気になったかを改めて考えることができた。
健康な人が病気を未然に防ぐ『先行投資型』ヘルスケアの形を変えたい。ユーザーに情報を提供し、生活をこんなふうに変えた方がいいのではないかとアドバイスする。
DeNAがなぜDNA検査? 南場氏が明かす真意(7月22日)
■遺伝子検査への懸念も
親子の血縁関係を確かめようとDNA鑑定を依頼するケースが増えている。安価で手軽な民間サービスの拡大が背景にあるが、関係者間の同意などの明確なルールは整備されていないのが現状。鑑定結果は家族関係などに深刻なダメージをもたらす恐れもあり、専門家は「本当に鑑定する必要があるのか慎重に考えるべきだ」と指摘している。