セキュリティへの不安を何とか払しょくすることに成功したワタナベ。しかし、次なるハードルが待ち受けていた。それは、ビジネスパーソンの多くが使っているMicrosoft OfficeをChromebook上で使えるのか、という問題だ。情シス・イシノ氏の口から出てきたのも、やはりこの問題だった……。
前回の解決内容はこちら。→「Google PCってウイルス対策ソフトがいらない」ってホント?
――Chromebookのセキュリティは、クラウドに保存したデータも安全で、本体メモリのデータも暗号化されている上、ウイルス対策もバッチリです。外に持ち出す部門のChromebookはログアウトするたびに全ユーザーデータをローカルから消去できる機能を使えます。それなのに不安そうな顔をしているのはなぜですか、イシノさん……。
イシノ: 管理上の、というより個人レベルの問題ではあるのですが……ChromebookではMicrosoft Office(以下Office)を使えませんよね。自分でドキュメントやスプレッドシートを作るのであればGoogle ドライブでこと足りるのでしょうが、送付されてきたWordやExcel、PowerPointなどのファイルはどうします?
――メールのウィンドウ内でプレビューできますし、そのままGoogle ドライブに保存もできますよ! ……あれ? そういうことじゃないんですか?
イシノ: それって閲覧だけですよね。業務上、修正して返さなければいけないものもあります。でも、Google ドライブは、WordなどOfficeファイルを保存して閲覧はできても編集できませんよね?
――実はイシノさん、つい最近「Office Editing for Docs, Sheets, and Slides」というアプリが登場したんです。平たく言えば、Chrome上でOfficeファイルを編集できる拡張機能なんですけどね。これをChromeに組み込んでおけば、今までみたいに閲覧だけ、ということはないんです。編集できるだけでなく、Wordのコメントや編集履歴も表示可能。しかも、オフラインでも使えるできるやつなんです。
イシノ: ほほう。ずいぶん使い勝手が良くなったんですね。
――そうなんですよ!
イシノ: でもこれ、レイアウトが崩れますねぇ……。このPowerPointファイルをよく見てください。同じものを開いていても、行頭の文字が違っています。フォントが変わってしまっているのも気になりますね。営業スタッフの場合、単に情報を伝えればいい、というものではなく、「提案資料」としてファイルを渡しています。なので見た目も大切なんです。それなのに受け取った側がPowerPointで開いた時にレイアウトが崩れてしまったりしたら元も子もないですよね。
――ただ単に内容を編集できれば良い、というわけではなかったのですね。レイアウト崩れが心配なら、OfficeファイルをWeb上で素早く編集できるMicrosoftのOffice Onlineがありますよ。Chromeを含むWebブラウザだけで利用できます。しかもすぐアクセスできるようChrome ウェブストアで「PowerPoint Online」や「Word Online」アプリを提供しています。これなら互換性やレイアウトを気にしないで編集できそうですが。
イシノ: 確かにそうですが、そのアプリを使うには、Microsoftアカウントが必要なのでいちいち登録する必要があり、ちょっと面倒ですよね。それにOffice Onlineを利用するには、Microsoftが提供するクラウドストレージサービス、OneDriveを使う必要があります。クラウドストレージ・Google ドライブへの保存というセキュリティ問題をクリアしたのに、今度はOneDriveのセキュリティ問題について考えなくちゃいけません。そしてもうひとつ大きな問題があるんです。それは……。
次回、Chromebookに期待されている、ある使い方が明らかになる……。
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