ニュース
» 2014年08月12日 00時00分 UPDATE

ネット空間の闇:ハッカー装い調査したところ、背筋が凍りつくようなことが (1/2)

情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」のフィリピンラボ。潜入調査員と呼ばれるスタッフが、ハッカーを装い新手の攻撃を探り出そうとしたところ……。

[産経新聞]
産経新聞

 雨期を迎え、ムッとした空気に覆われた6月のフィリピン。スラムとオフィス街が混在するマニラ首都圏郊外のビルに、世界中のサイバー攻撃を監視する“最前線の基地”はあった。

 情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」(東京)のフィリピンラボ。「アンダーグラウンド(闇社会)」を渡り歩く潜入調査員と呼ばれるスタッフが日夜PCに向かう。

世界で22人の「精鋭」

 その一人、フィリピン人技術者のライアン・フローレス(32)は犯罪者が情報交換に集まるインターネットサイトにおもむろにアクセスした。「サイバー攻撃に使えるマルウエア(ウイルスなど悪意あるプログラム)を探している」。ハッカーを装い新手の攻撃を探り出す。

 同社の潜入調査員は全世界に22人しかいない精鋭たち。高度な解析技術、犯罪者との交渉能力はもちろん、国ごとに異なるネットスラング(隠語、造語)を使いこなし、ときには犯罪者になりすます。卓越した技能を持つ限られたエリートなのだ。そんなフローレスにも背筋が凍りつくような経験があった。

 数年前の冬。ある犯罪グループが使うサーバーを突き止めた。ネットから侵入しデータを探ったが、有益な情報がない。

 理由は一つの画像ファイルを開くと分かった。現れたのはクリスマスカード。その宛名にこう書かれていたのだ。

 「Ryan Flores(ライアン・フローレス)」

 秘密裏に侵入していたつもりが見抜かれ、素性まで調べ上げられていた。これ以上うろつくな、という「恫喝(どうかつ)」だった。

yd_japan.jpg トレンドマイクロがブロックした日本へのサイバー攻撃。増加していることがわかる。腕利きのスタッフがアンダーグラウンドのサイバー空間に潜り込んで調査するが、敵はそれも見破ってしまうという
       1|2 次のページへ

copyright (c) 2014 Sankei Digital All rights reserved.

Facebookコメント

アクセスランキング