アギーレ新監督、所信表明!守らなければ本田も香川も使わない
日本代表のハビエル・アギーレ新監督(55)が11日、都内のホテルで会見し、守備の強化を宣言した。現役時代を含め母国メキシコで4度のW杯を経験し、監督として2度の16強入りを果たした名将は「FW、MFにも守備を求める」と明言。守備の意識に欠ける選手は代表に選ばず、献身を求める方針を明かした。アギーレ・ジャパンは9月5日、ウルグアイとの国際親善試合(札幌ド)でスタートを切る。
守備のできない選手はピッチに立たせない。報道陣278人が集まった会見で、アギーレ新監督は、鋭い目で日本サッカー再生へのポイントを口にした。「守備に力を入れたい。守備を固めて勝利を目指すことが目標だ」。6月に地元メキシコのテレビ局の仕事でブラジルW杯を取材。1勝もできず1次リーグで敗退したザック・ジャパンを分析し、出した結論は守備力の向上だった。
攻撃のイメージが強いアルベルト・ザッケローニ前監督(61)とは違う角度からの強化策。選手選考する際はDF陣に限らず、選手全員に高い守備意識を要求する。「FW、MFにも守りを求める。とにかくボールを奪い試合に貢献する選手が必要。イレブン全員が守れて攻めるチームを目指す」。ザック・ジャパンでは主力だったMF本田圭佑(28)=ACミラン=、香川真司(25)=マンチェスターU=も守備への不安があるだけに、立場は安泰ではない。
守備を重視するのは過去の経験が大きい。スペインリーグで最初に率いたのは残留争いの常連オサスナ。堅守を掲げ、4年連続で1部残留に成功したほか、4年目には欧州チャンピオンズリーグ出場権を獲得するまで強くさせた。12年に就任したエスパニョールでもチームを2部降格の危機から救った。献身的な守備からの攻撃を基本とし、成功を重ねた。
日本の印象は「すごい選手はいる。技術は素晴らしい」と語り、体格は恵まれないものの、高い技術を持つ母国メキシコのサッカーと似ていると見ている。強豪国との差は「国際大会でのタイトルがないだけ」とし、世界で戦える可能性は十分あると断言した。
この日午後、羽田空港に来日。初陣となる9月5日の親善試合ウルグアイ戦(札幌ド)に向け、今後はJリーグを視察する。準備期間が短いため、初戦はブラジルW杯メンバーがベースになる見込みだが、その後は自ら判断した選手を選び、試してチームの骨格をつくっていく。年内は親善試合6試合を消化、来年1月に連覇のかかる初の公式戦アジア杯(オーストラリア)に挑む。「たくさん走る。いいプレーをする。勝利する」とシンプルな哲学を持つ新指揮官。「とにかくロシアを目指して頑張りたい」。18年ロシアW杯で日本を過去最高の8強に導く、長い旅が始まった。(斎藤 成俊)
◆ハビエル・アギーレ(Javier Aguirre)1958年12月1日、メキシコ市生まれ。55歳。両親はスペインから移住したバスク系メキシコ人。現役時代はMFで自国開催の86年W杯8強。95年に母国のアトランテで監督を始め、2002年日韓、10年南アフリカW杯ではメキシコ代表を16強に導く。スペインではエスパニョールなど1部の4クラブを指揮。
▽家庭人 シルビア夫人とは結婚31年目。常に行動を共にし、今回で27度目の引っ越し。子供は3人で全員男性。長男・アンデルさんは弁護士、次男・ミケルさんがコーチ、三男・イニャキさんはサッカー選手。
▽愛称 「バスコ」。メキシコ市生まれだが、両親がスペインのバスク地方出身で、それに由来する。ピンチのクラブを立て直す手腕から「消防士」とも。
▽相手選手に蹴り メキシコ代表を率いて出場した09年北中米ゴールド杯のパナマ戦で、タッチライン際でプレーする相手選手に蹴りを入れた。退席処分となり、3試合の出場停止を命じられたが、チームはその後優勝。
▽3人目 メキシコ人が他国代表チームを率いるのは3人目。カスティージョ監督(ホンジュラス)、コボス監督(エルサルバドル)に次ぐ。
SAMURAI BLUE