日本経済の幻想と真実

朝日新聞の「慰安婦報道」は
戦後最大のメディア犯罪小さな嘘が大きな嘘を生んで日韓関係を破壊した

2014.08.12(火)  池田 信夫

第三者委員会で客観的な調査を

 最初は大した嘘ではなかった。身売りした娼婦の話をちょっと大きくして、1面トップを飾ろうとしただけだ。戦争中のことだから、どうせ証拠は出てこない。紙面を使って義母の運動を支援しよう――植村氏がそう考えてもおかしくない。

 ところが首相が謝罪して韓国が賠償を要求してきたため、騒ぎが大きくなった。この問題の調査結果を発表した93年の河野談話について、検証記事は「各紙は、河野談話は『強制連行』を認めたと報じたが、朝日新聞は『強制連行』を使わなかった」と書いている。

 語るに落ちるとは、このことだ。朝日新聞は、この段階で「強制連行はおかしい」と気づいていたのだ。このとき「あれは誤報でした」と訂正すればよかったのだが、そのタイミングを逃した。

 苦しまぎれに問題を「女性の人権」にすり替えたら、これを国連や海外メディアが取り上げ、「性奴隷」を批判するキャンペーンが2000年代に始まった。ところがこのころ朝日新聞は、慰安婦問題をほとんど報じていない。嘘だと分かっているからだ。大した問題ではないので放置すればそのうち韓国も忘れる、と経営陣は考えたのだろう。

 ところが韓国は、政権が窮地に陥るたびにこの問題を蒸し返し、日韓外交の最大の懸案になってしまった。ここまで大事件になってから嘘を認めると、社長の責任問題になるので、逃げ回っているうちに話はますます大きくなり、朝日新聞の営業や採用にも支障が出てきたと思われる。

 今回、誤報を認めたのは一歩前進だが、いまだに「本質を直視せよ」と開き直っているようでは自浄能力は期待できない。国会に植村氏を招致する話が自民党の石破茂幹事長から出ているが、それがいやなら朝日新聞社が第三者委員会をつくって調査すべきだ。

 STAP細胞の問題では、理化学研究所も早稲田大学も第三者委員会で調査した。労働問題では、ワタミもゼンショーも第三者委員会をつくった。「説明責任」がお得意の新聞社が、まさかこのままほおかむりするつもりではあるまい。

Premium Information
楽天SocialNewsに投稿!
このエントリーをはてなブックマークに追加

バックナンバー

アクセスランキング
プライバシーマーク

当社は、2010年1月に日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より、個人情報について適切な取り扱いがおこなわれている企業に与えられる「プライバシーマーク」を取得いたしました。

Back To Top