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若い女性の専業主婦志向の理由

先日、国立社会保障・人口問題研究所による第5回全国家庭動向調査(2013年調査)が発表された。いろいろと興味深い調査結果が出ているが、そのうち専業主婦に対する考えについてみてみたい。

配偶者のいる女性のなかで、「結婚後は、夫は外で働き、 妻は主婦業に専念すべきだ」という考えに賛成したのは44.9%とほぼ半数にのぼる。前回初めて増加に転じた2008年調査の47.7%よりやや減少しているが、それでも世の言説から受ける印象よりも多い数値だ。さらに意外なのは、60歳以上を除けば、20代が最も賛成が多く41.6%で、続いて30代、40代と続き、若い世代ほど専業主婦志向が強いのである。

結婚前の女子大生の間でも専業主婦志向が高まっているという話はあるが、実際に結婚している女性の間でも、専業主婦志向は若年層ほど高い。

この理由はいくつか考えられる。先日のブログ記事でも書いたように、女性の幸福度は平均的には専業主婦が高いのに対して正規雇用者は低いという調査結果が出ている。残業の多い男性中心の会社社会のなかで忙しく働き、さらには家事育児も責任を持つことに疲弊している先輩女性をみて、必ずしも幸福には見えない、それだったら少し余裕をもって家事育児に専念し家庭を大切にしたいと思う女性が出てくることは想像がつく。

もう一点おさえておきたいのは、育児に手がかかるのは子どもが小さいとき、つまり女性が若いときであるという構造上の理由である。「専業主婦は金持ちの高年齢層というレッテル」というブログ記事で書いたように、専業主婦世帯は末子の年齢が低いほど高く、末子が0歳で70.9%、1歳で63.7%、2歳で58.4%、3歳で53.0%と子どもが成長するにつれて低くなり、8歳で37.8%、13歳で29.7%、17歳で28.0%だ。仮に末子を36歳で産んだとすると50歳くらいで末子が中学生になり手がかからなくなり、家事育児業以外の仕事を行う人が多くなる。

つまり、子どものいる20代、30代は子どもが幼く手がかかるため必要に迫られて実際に専業主婦に従事しており、その経験に基づき「夫は外で働き妻は家庭で主婦業に」という考えに賛成する割合が高いと推測される。

ではなぜ、子どもが0歳か1歳のうちに保育園に預けて早くに働きに出る女性の割合がさほど高くならないのか。一つには待機児童の問題もある。しかし、それ以上に大きい要因は女性の非正規雇用の割合が高いからだ。20代、30代前半で45%近くが非正規雇用であり、これらの人々の大半は育児休業を取得できない。つまり、いったん退職し専業主婦になるのである。1年間の育児休業給付金も得られなければ、早く復帰しなければポジションがなくなるといった戻るべき職場もない。だから、1、2年の仕事のブランクを心配するよりも、育児に専念したいと考える人も一定数いるのであろう。

若い女性の専業主婦志向はこういった構造的な要因も考えられる。配偶者控除廃止の議論もこういった点まで丁寧に検討される必要があろう。私は、女性は専業主婦になる「べき」だとか、外で働く「べき」だとか、各家庭の生き方を他人や政府が押し付けること自体避けるべきであり、各家庭にある選択の権利を政府はなるべく公平に保障すべきだと思う。

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