2010-12-26 15:43:52

酒豪と下戸 (2/2)

テーマ:美酒・美食 / 粗食

1 「デニソワ人(Denisova Hominid)」 なんて初めて聞く名前ですね目

パソコン 人類に未発見の新系統か、4万年前のシベリアに (2010年03月25日 AFPBB News)

パソコン 現代人の祖先、別人類「デニソワ人」と (2010年12月23日 読売新聞)

 研究チームによると、人類の祖先は40万~30万年前にアフリカを出て、ヨーロッパに移動した集団がネアンデルタール人に、アジアに広がった集団がデニソワ人になった。 それに遅れて6万~5万年前にアフリカを出た現代人の祖先が先住者と交雑し、今に至ったらしい

ニーハオ! 二胡の調べと 囲碁の日記-20101223-567
 欧州やアジアなどの現代人の祖先とネアンデルタール人との交雑を示す研究成果は、今年5月に発表されている。 異なる人類どうしの交雑、共存が一般的だった可能性が出てきた。


 いずれにしても、現代人の祖先はアフリカで誕生し、世界各地へと広まっていく過程で、先住の人類とも交わりながら子孫を増やしていった、というストーリーのようですねあしあし あしあし あしあし  
 あしあし あしあし あしあし

2 面白いのは、アフリカで生まれた私たちの祖先は、全員がお酒を飲める体質の人たちだったのに、中国大陸のモンゴル高原か南部の江南地方までやってきたところで 「突然変異ドンッ」 が起こり、お酒を飲めない体質、すなわちアルデヒド脱水素酵素 (ALDH)) があまり働かないか、全く働かない子供が生まれたらしいということです。

 そのことを示すのが下の図票です。 [出典:パソコン 酒の強さは遺伝子で決まる 原田 勝二 氏 (アットホーム(株)大学教授対談シリーズ『こだわりアカデミー』 )

ニーハオ! 二胡の調べと 囲碁の日記-aldh_map_world
 左の図で、水色のNN型はアセトアルデヒドの分解が速く、たくさん飲める酒豪タイプ。

 ND型はそこそこ飲めるタイプ。
DD型は、体質的にほとんどアルコールを受けつけない下戸タイプをあらわしています。

 前回も書きましたが、日中韓の三カ国だけにお酒を飲めない遺伝子を持った人が多いということがよく分かりますね。

3 次にご紹介する下記の図表も筑波大学 原田勝二先生の研究成果によるものだそうですサーチ

パソコン 酒の強さは遺伝子で決まる 原田 勝二 氏 (アットホーム(株)大学教授対談シリーズ『こだわりアカデミー』 )

ニーハオ! 二胡の調べと 囲碁の日記-sake_map2

下戸遺伝子は弥生人ゆずり!?
──最近、このALDH2遺伝子の型の割合を、都道府県別に調べられたそうですが。


原田: はい、北海道から沖縄まで五千名以上の日本人を対象に調べたところ、図表1にあるように北海道、東北、九州、沖縄地方に酒豪遺伝子であるN型遺伝子の割合が多いことが分りました。 特に秋田県が一番多く、次に鹿児島県と岩手県、逆に最も少ないのが三重県、次いで愛知県という結果になったのです。


──N型遺伝子のみを持つ人は日本の北と南に多いんですね。 地域差がはっきりしているように思うんですが…。

原田: そうですね。でも、どうしてそうなったのかは、はっきりと分っていないんです。 ただ、以前世界的に同様の調査をしたところ、コーカソイド人種 (白人) やネグロイド人種 (黒人) にはNN型の人しかおらず、D型の遺伝子を持っているのは日本人や中国人などのモンゴロイド人種だけということが分りました。 このことが関係しているのではないかと考えています。


──と言うと、具体的には…。

原田: 前にも言ったように、D型はN型遺伝子の突然変異でアセトアルデヒドを分解する能力が低下したものなんです。 ですから、そもそも当初人類にはN型しかなかった。 そこに突然変異が起こり、D型ができた。 おそらく2-3万年前にモンゴロイド人種の中で起こったことだと思います。 そして、その人達が時代を経て増えていったのです。


──日本も大昔はNN型の人しかいなかった。 そこへD型を持った人達がやってきたということなんでしょうか。

原田: そうではないかと思います。 現在の日本人は、縄文人と弥生人の特徴を兼ね備えていると言われています。 それに当てはめて考えると、恐らく縄文人のほとんどはN型遺伝子のみを持っており、とても酒に強かった。 そして、縄文時代末期から海を渡って近畿、中部に多く移り住んだとされる弥生人によって、酒に弱いD型遺伝子がもたらされた…。 この歴史のために地域差がでたのではないかと思います。


 なんだか 「神武東征 (じんむとうせい)」 神話を思い出させるようなお話とマップですね。


 神話はともかくとして、現在の通説では日本列島の先住者である縄文人は北方系の人種で、稲作を日本に伝えた弥生人は南方系といわれています。

 一つ前の記事に書いた 「ALDH2の低活性型+不活性型の割合」 が、日本44%、中国41%、韓国28%というデータを念頭に上記の図1を眺めると、弥生人は朝鮮半島経由で渡ってきたというよりは中国南部の江南地方から海流と風に乗って直接九州北部か五島列島に上陸したのかもしれませんね。

 九州南部も沖縄も酒豪県ということを考えると、中国大陸から台湾、沖縄といった島伝いに渡ってきたというふうにも考えにくいですものね。


[参考]
 日本列島は、新生代始新世頃からその原型が形成され、新生代中新世 (約2,300万年前から約500万年前までの期間) に日本海が形成されてユーラシア大陸東岸と分離した。

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コメント

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1 ■デニソワ人?

全く聞いた事がないですね。様々な民族、人種が世界中に生きていますが民族紛争があったり宗教で戦争があったり様々な争いや人種のミックスがありますがまだ分類されている種類の人種の中にもこういうのがいるとかまだよく知らない方々は旅行でもされてよく回るといいでしょう。いろいろ発見があったり考えも開けるでしょう。日本人はGEEKですよ。

2 ■Re:デニソワ人?

>日本人さん こんにちは。
こういう新発見というのは、今後もあるのでしょうね。 こんどはどんな新発見があるのか楽しみですね。

3 ■無題

>王俊英さん
お返事ありがとうございます。たまにブログを見させていただいております。これからも元気で続けてください。

4 ■OTAKUは立派な凄い文化だと思います

日本中国アジアなどは近いし当然いろいろわりと似てますよね。いやー、読むといろいろ分かりますね。私はGEEKと言いましたが、オタク文化が好きです。

5 ■Re:OTAKUは立派な凄い文化だと思います

>日本人さん こんにちは。
そういえば、絶滅したとされていた「クニマス」をを再発見したさかなクンもオタクといってよいのかもしれませんね。 オタクパワーがいい方向に発揮された好例ですね。

6 ■無題

明けましておめでとうございます~

興味深い記事ですねー
日本人の目から見て原田氏のご著書の遺伝子分布図で面白い点は、日本は朝鮮半島や中国と比較しても、アジアの新しいタイプの遺伝要素と古いタイプの遺伝要素が一番高い割合で混ざり合い、比率的には大陸よりもさらに多くなっているのが日本人ということかもしれません
以前もチベット人と日本人にだけ共通する遺伝子について書きましたが、この日本人の混血の歴史の複雑さ自体はけっこう前から言われていたことで目新しくはないですが。。。、人種の坩堝、人と文化の終着点としての日本列島という感じですね~

また仮説ではありますが、昔から日本語のアルタイ語属説がよく言われていますので多くの日本人にとってはアルタイという場所はけっこう親近感を感じることと思います
中国語は別の言語グループに属しますが、記事を拝読していて、モスクワで中国出身のモンゴル族の知人が、日本人とモンゴル族は同じアルタイ諸語を使うという共通点があるんだ、と力説していたことをフッと思い出しました

この記事を拝読した機会にデニソワの発掘調査チームのアナトリー.ジェレビャンコ氏(ロシア科学アカデミー)のインタビューも読んでみましたが、この小さな発掘地域の文化遺跡地層に含まれる考古学的な情報量がかなりの量らしく、人が住んでいた時期や人類の知的発展の経過も今までの定説を覆すような古い時期ということだそうで、アフリカでの人類の発展よりシベリアで先に知的な進化をした可能性とか面白いことが色々書いてあり、ますます興味津々です
ただしジェレビャンコ氏の言葉によると、デニソワ研究で人類の歴史が書き換えられるというより、現状はさらに人類の謎の部分が多くなってしまったそうですが、真理の探究にはプロセスが長いことはつきものという感じでしょうかσ(^_^;)

7 ■Re:無題

>SALさん こんにちは。
デニソワ人のことはとっても興味深いですね。 こんどはどんな発見があるか楽しみですね。
コメントありがとうございました。

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