子どもの貧困率、問題は子育て世代全体の貧困化にある
THE PAGE 8月11日(月)17時43分配信
2012年における、子ども(17歳以下)の貧困率は16.3%(厚生労働省「平成25年 国民生活基礎調査」)でした。2003年の13.7%から徐々に上昇し、過去最悪の値となってしまいました。子どものうち6人に1人が貧困という数値であり、学校のクラスでは平均的に5人程度いることになります。
貧困率は相対的な指標です。可処分所得の大きさがちょうど真ん中の順位の世帯を中央値とし、その中央値の半分より所得が少ない世帯の割合を貧困率といいます。子どもは世帯に複数いたりするので、世帯とはやや値が異なります。中央値の半分の額を貧困線といい、2012年は122万円でした。貧困線は1997年の149万円から低下し続けているため、子どもの貧困率の上昇(2.6%ポイント)は数字上よりも深刻だといえます。
背景として、母子世帯の経済状況が良くないことが多く指摘されています。確かに総務省(「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」)によると、2011年の母子世帯は123.8万世帯で、2006年から8.7万世帯増加しています。およそ4割の母子世帯はアルバイト等での収入に頼っていて、また、2割の母親は就業していません。そのため、母子世帯が増加すると子どもの貧困率は上昇します。
しかし母子世帯だけでは、子どものうち6人に1人という貧困は説明できません。両親ともにいる世帯でも貧困率が徐々に上昇していることで、子どもの貧困率が上昇してきています。子どもの貧困率16.3%はおよそ200万世帯程度とみられ、そのうち140万世帯程度は母子世帯以外と計算されます。子育て世代全体における貧困化がすすんでいるのです。
子どもがいる世帯についてグラフで見てみると、母子世帯など大人が1人の場合の貧困率は54.6%とやはり大きな数値です。ただ、1997年の63.1%からは低下しています。逆に、大人の数が2人以上の世帯の貧困率は1人親の場合より低い12.4%ですが、こちらは高まっています。
児童(18歳未満の未婚の者)のいる世帯のうち、65.9%が生活が苦しいと答えています。これは高齢者世帯の54.3%を上回る数値です。子育て世代全体が問題のため、母子世帯等のための児童扶養手当制度等のみでは、子どもの貧困問題のすべては解決できません。
最終更新:8月11日(月)21時37分
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