民生用無人機の本格利用は遠い先
ウォール・ストリート・ジャーナル 8月11日(月)12時52分配信
【ワシントン】米国やカナダの航空規制当局者によれば、民生用無人機の本格利用が実現するのは、多くの推進派が期待しているよりずっと先のことになりそうだ。
パイロットの労組である米航空機パイロット協会が先週ワシントンで開催した無人機の民間利用に関する討論会で、米加のほか国際民間航空機関(ICAO)の高官が明らかにした。民生用無人機の推進派は連邦政府の認可を得ようと努力を倍加し、米議会からも迅速な認可を求める声が出ているが、規制当局者の発言によりハードルの高さが浮き彫りになった。
規制当局が認可に慎重なのは安全上の懸念からで、米連邦航空局(FAA)の安全問題のナンバー2であるジョン・ヒッキー氏は討論会で、「我々は無人機が安全であると確信できるようになるまで認可するつもりはない」と述べ、民生用無人機の認可は「一部の人たちが期待しているほど早くはならないだろう」との見通し示した。
米議会はFAAに対し、2015年秋までに有人機と無人機の安全な一体的運航を実現する総合計画を策定するよう命じている。ヒッキー氏の発言は、FAAが15年秋までに無人機の広範な利用を目指すのではなく、それまでに総合計画をとりあえず作成する方針を示したものだ。超小型無人機に関する規則がまとめられるのは、来年後半以降になるとみられ、大型の無人機の規則はそれより何年も後になる見込みである。
カナダ運輸省民間航空規制当局を率いるマーチン・イーライ氏もこの討論会で、無人機を国際・国内線の空域に全面統合させるのには、「おそらく長い期間がかかるだろう」と語った。イーライ氏によれば、カナダ運輸省は昨年、共通空域とは分離した指定空域での無人機の飛行を前年比3倍増の1000件弱許可した。ただ無人機業界は、無人機が他の航空機を識別して回避するのに必要な技術をまだ開発しておらず、安全な運航に必要不可欠なこの技術を開発しなければ、無人機は通常の空域での運航について許可を得られない。
ICAO航空管制室の責任者であるミッチェル・フォックス氏は、無人機の認可や広範な運航のための国際基準の策定には少なくとも4年間かかると予想し、「漸進的なアプローチが欠かせない」と述べた。FAAは、無人機推進派からの圧力を緩和するため、特定目的の小型低空飛行の無人機を少数だけ個別認可している。
By ANDY PASZTOR
最終更新:8月11日(月)12時52分
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