【コラム】大統領をめぐるうわさ

 そんな扱いをされていたうわさ話が、7日の国会でのやりとりをきっかけに、一般のメディアでも取り上げられるようになった。プライベートな場での数人の人々の雑談の中でそのような話が出るのではなく、「ニュース」として登場しているのだ。

 さらに、うわさ話に登場していたチョン・ユンヒ氏が離婚していたことまで判明し、事態はさらにドラマチックになった。チョン氏は財産分与や慰謝料の請求をしないという条件で、妻に対し婚姻期間中の出来事について「秘密の維持」を求めた。故・崔太敏(チェ・テミン)牧師の娘婿に当たるチョン氏は、朴大統領が国会議員時代に秘書室長を7年間勤めた。チョン氏は最近、あるメディアとのインタビューで「私の利権への介入や(朴大統領の弟)朴志晩(パク・チマン)氏に対する尾行疑惑、裏での活動などについて、政府が公然と調査をやればいい」と大声で怒鳴った。

 世間の人々は真実かどうかを抜きにして、このような状況を大統領と関連付けて考えた。以前なら、大統領を支持する勢力は烈火のごとく怒っただろう。支持者ではない人たちも「言及する価値すらない」と思ったに違いない。ところが今は、そのような常識が崩壊し、理性的な判断ができなくなっているようだ。

 国政運営で高い支持率を維持していれば、うわさが流れることもないだろう。大統領個人に対する信頼が失われたことで、あらゆるうわさが流れているのだ。それは身体の免疫力が落ちたとき、鳴りを潜めていた病原菌が活発になるのと似ている。

 これは大統領として、非常に深刻に受け止めなければならない。なぜ、どこで免疫力が低下したのだろうか。現政権ほど国政をめぐるアジェンダ(検討課題)の多い政権はない。「国民の幸福」「国民の大統領」「不正常を正常に」「規制緩和」「統一大当たり」「国家の大改革」など―。だが、任期中にどれか一つでも十分やり遂げられると信じる人はいない。大部分は掛け声倒れに終わるかもしれない。

崔普植(チェ・ボシク)記者
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