BLEACH―虚圏に舞い降りた天使―《revival》 (幽閉フリューゲル)
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皆様こんにちは。
この度は勝手ながら無断で削除してしまい、申し訳なく思っております。ごめんなさい。

冒頭部分の「十刃就任編」の内容を変えてお送りしております。

今夜0時に新しい話と同時に全ての話を掲載いたしますので、もしよろしければ再びお付き合いしてやってください。

それでは、まずはプロローグから。
ここれも最後の藍染たちの台詞部分だけ変更を加えました。



Episode.0「プロローグ」

私の得意なことは「妄想をする」ことだ。

これが私の本質であり、私の生きる道。そして、私が死んだ理由。

私が住んでいた村ではなぜか、私を神の子のように信仰した。
真っ白な髪と碧眼の女は神様を表しているらしく、私は生まれた瞬間から「神の子」として扱われていたらしい。
物心ついて理解した時、私は動揺した。
自分には大した力もないのに、なにもしてはいないのに、「豊作なのは貴方のおかげ」とか「貴方のおかげで子供が無事に生まれた」とか、なにかと理由をつけて私を讃え、崇める。そんな村人たちを見て、私は疑問に思う。
なぜ彼らは私のような小娘をここまで信仰する?
よくわからない。
自分が崇拝されていることに嬉しくないわけではなかったが、それよりもなぜ彼らは私のことをここまで神様と信じて疑わないのか、それがわからなかった。

そして、10年が経過した。
時の流れというのは怖いもので、最初は疑問に思っていたことはすっかり定着してしまい、私は神様と呼ばれることに慣れてしまった。
躊躇いはあったが、ここまで自分を信じてくれる人たちを裏切るわけにはいかないと考えた私は、これまでずっと座学を受け、頭を鍛えた。村の道場に通ってそれなりの強さも手に入れた。
豊作になるようにどうすればいいのかを徹底的に考え、想像し、常に試行錯誤を繰り返して辿り着いた方法は大成功を納め、農作業の指導者も務めた。
順調だった。
順調に自分は神様として(・・・・・)の務めを果たせていると感じていた。

しかし……そんな日々も終わりを告げる。
ある日、村で1人の死亡者が現れた。

寿命? 違う。
殺人? 違う。
自殺? それも違う。

それは、なんでもない。病死だった。
しかし、ただの病気ではなかった。……疫病だった。
その日を境に、次々と疫病による死亡者が相次いだ。
恐ろしいことに日にちが進むたびに一日当たりの死亡者数も増えていく。
今日か、明日か、自分は死ぬ。
そう考えた村人たちは、私の元に助けを求めた。
……しかし、私には何も策はなかった。
疫病の正体がつかめなかった。
自分が今持っている知識の中にも、村にある参考書全てにも目を通したが、それでもわからなかった。

私は最後の手段に出た。

それは、私を生贄にする方法だった。
古い書物に、神の子の肉体を天に差しだすことで、あらゆる災害から救われるというものがあった。
この村では私を神様として扱っている。なら、私が本当に神様だったら、この身を散らせばみんなを守れる。
根拠のない考えだということは理解している。しかし、それしか私が頼れるものなんてなかった。結局、最後は神頼みしか方法はなかった。神様と言われている私が神頼みなんて失笑ものだが、これしか策はない。
だから、私はこの村を守るために神への供物として生贄に捧げられ、体を燃やされた。
生贄に捧げられ、私は幽霊となり、村の様子を見守った。
しかし……村の疫病は治まらなかった。
そして、それを見て私は漸く現実に引き戻された。

ああ、やはり私はただの無力な小娘に過ぎなかったのだ、と。

私の名前を呼びながら息絶えていく村人たちを見ながら、私は今更気がついた。
頑張ったつもりだった。
私はみんなから神様と呼ばれる資格を持つために、努力してきたつもりだった。でも、私は結局、神様にはれなかった。
ただの自分の妄想だったのだ。
そもそも神様と呼ばれる資格なんて、そんなものがあるわけがなかったのだ。だが、それでもなお、私はそれを追い求めて、期待に応えるために必死に勉強してきた。それが、自分の妄想だということも気がつかずに。
村のみんなもただ私が白髪碧眼だということだけで私を神様だと妄想した。そして私はその妄想に調子に乗らされ、振り回されたバカな女だということを突きつけられた。

――なにが自分を生贄にすれば村が救われるだ。それもこれも全部妄想話だったではないか。

そこまで感じると、私の胸からぽっかりとなにかが零れ落ちた感覚が襲った。
そして私は……かつて神と呼ばれていた私は、堕ちた。


――???Side…

「急にすまないね」

「いえいえ」

「一体何のご用でしょうか」

「うむ。実はつい最近、新しい『十刃(エスパーダ)』候補が見つかったんだ」

「と、いいますと最上級大虚(ヴァストローデ)ですか?」

「ああ。しかも特大(・・)のだ。これから僕たち3人で彼女を迎えに行こうと思う」

「私たち3人で、ですか?」

「ボクか彼に任せればいいですのに」

「いや、彼女は別格だ。穏やかだが、規則外の実力を持っているからね。万が一に怒らせたら面倒だ(・・・)。だから、僕たち全員でお出迎えするんだ」

「彼女? 女の子ですか。はー、それは怖いですなぁ」

「ですが、その『彼女』は素直に我々の要求を飲んでくれるのでしょうか?」

「それに関しては問題ないよ。彼女は今、退屈な日々に飽きて変化を求めている。きっと応じてくれるはずだよ」

「そうですか。ほんで、今すぐ行くんです?」

「ああ。彼女は気まぐれでよく移動しているからね。今丁度、ここに近づいてきているんだ。また遠くに行かれたら大変だからね。さて――行こうか、ギン、要」





     ――To be continued…


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