知り合いの大学教授から、「居酒屋でアルバイトをする学生の退学が増えて困っている」という話を聞きました。原因は、日本経済の大きな問題になってきた人手不足です。
居酒屋や牛丼の大手チェーンが次々と店舗の閉鎖に追い込まれているように、サービス業ではアルバイトの確保に四苦八苦しています。学生はイメージのいいカフェなどで働きたがり、“ブラック企業”のレッテルを張られるようなところには来てくれないのです。
これは、居酒屋の運営に責任を持つ店長にとってはきわめて深刻な事態です。そんなとき、優秀な学生がたまたまバイトに応募してきたらどうなるでしょう。
店長はこの千載一遇の機会を逃さないよう、あらゆる手段で学生を引き留めようとするにちがいありません。店を仕切れるスタッフがいなくなれば店舗は閉鎖され、店長の仕事もなくなって家族ともども路頭に迷ってしまうのです。
学生のなかには、いい年をした大人の必死の説得を断れない心根の優しい若者もいます。こうして学業とアルバイトが逆転し、居酒屋が生活の中心になって、単位が取れず退学せざるを得なくなるのです。
美容院を経営している知り合いは、同じ雑居ビルに入っている居酒屋に憤慨していました。なんど注意してもゴミ出しなどのルールを守らないばかりか、客と店員が喧嘩して警察を呼ぶ騒ぎを何度も起こしているのだといいます。
ビルの入居者を代表して彼が居酒屋に苦情をいいにいくと、店長は平謝りするものの、いつまでに改善できるのか具体的な話をいっさいしません。彼が問い詰めると、居酒屋の店長は驚くべきことをいいました。
「私にはアルバイトにはなにもいえないんです。わかってください」
事情を聞いてみると、その店を実質的に支配しているのは路上の呼び込みとアルバイトでした。客とのトラブルのほとんどは「(呼び込みのいったことと)話がちがう」のが原因ですが、客は歩合制の呼び込みが連れてくるので彼らに逆らうようなことはできません。アルバイトを募集しても応募はほとんどなく、厨房やフロアのスタッフを辞めさせることもできません。店長とは名ばかりで、スタッフの機嫌をとるのが仕事なのですから、管理などできるわけがないのです。
「あとはつぶれてくれるのを待つだけですよ」と、知人はあきらめ顔でいいました。
ブラック企業が批判されるのは、新卒の正社員を大量に雇い、残業代を払わずに最低賃金以下で働かせ、使い捨てていくからです。こうした「ビジネスモデル」は、人材が無尽蔵に供給されることを前提にしています。2007年の世界金融危機に端を発した景気低迷で労働市場の需給がゆるんだことで、この「価格破壊」が可能になりました。
ところがアベノミクスによる景気回復で、少子高齢化の日本が今後、労働力の枯渇に悩まされることがはっきりしてきました。
需要と供給の法則では、供給が少なければ少ないほど価値は高くなっていきます。人手不足によってブラック企業のビジネスモデルは崩壊し、やがて市場からの退出を迫られることになるでしょう。
皮肉なことに、道徳的な批判や政府の規制ではなく、市場原理によってブラック企業問題は解決されるのです。
『週刊プレイボーイ』2014年7月28日発売号
禁・無断転載
週プレ誌への短い執筆ですからコレはコレで納得させられますが、損得勘定
は果てしなく回わることでもあり、ブラック企業問題は解決されないと思い
ます。
いよいよその店はツブれて、バイト君含む従業員や店長はクビ。競合他店も
同じようなもので淘汰されてしまう。すると生き残った店が繁盛し出す。余
った労働者が「3Kでもいいです、雇って下さい~」と面接にズラリと来る。
景気回復はバラマキがその正体で、BBQで言うとまだ炭に火が入らない状態
で着火剤ばかりが燃えている状態です。もう借金して着火剤を買う余裕が無
くなりつつあります。信用が低下しているので、知り合いの銀行から銀行そ
のものを連帯保証人にして借りる手ももう尽きそうです。
バラマキで円安になったので、ただでさえ高いエネルギーや原料費が高騰して
コストプッシュで企業の利益を削ります。輸出企業のように販売価格にそのま
ま上乗せできない内需型の企業は、消費増税による需要減と原価増と電力費等
高騰のトリプルパンチです。
政府そのものを含む既得権益者を追いやる「第三の矢」は「千本の針」と揶揄
されたままで、射られる様子はみられません。新しく誕生する企業は多くなく、
伸ざかりの既存企業は規制の少ない海外市場を探して出ていきます。
国内には資本を運用できる数少ない上層階級と、飲食・介護業など身の回りの
サービスの従業員など決して高い給料をもらえるわけでもない多くの下層階級
が残ります。中間層は今に比べるとかなり減りそうです。公務員は妬まれます。
となると、多くの下層階級が多くの下層階級のお客様になる。商売人にとって、
下層の安い客は儲からないのに手間だけかかる者が多いのは常識。ここでは、
スーパーブラック企業が活躍するハズです。
全体のパイがふえないと、再分配もできず経済そのものがシュリンクするだけ
です。小さくなるパイでは、ブラック企業はスーパーブラック、ウルトラスー
パーブラックへと進化します。望みはナマポですが、その頃には打ち切られて
いて、フードスタンプなど最低限のバウチャーのみのナマゴ(ロシ)でしょう。
最近、地方都市では周りが静かすぎてヒマなくらい。暗い長文失礼しました。
飲食業が吊し上げくらっているが、
他の業界も同じようなもの。
例えば介護・医療業界、などなど。
いわゆる現場系は、
社会の底辺貧困層の吹きだまりだから、
どっちもどっちというような面があるやに、
聞いている。
君子あやうきに近寄らず。
世界にはそういった場所が、ある。
これまでも、またこれからも。
ブラック企業問題は市場原理が解決する
http://www.tachibana-akira.com/2014/08/6510
ブラック企業問題は"アベノミクス"によって解決する
http://diamond.jp/articles/-/57154
何でここは『市場原理』であっちは『アベノミクス』?
最近、安倍マンセー記事ばかり
4月に消費税を上げて、6月には法人税の引き下げを議論してる。
これ、
増税が失敗だったのを認めてるようだね。
国家財政と税金について言おう。
2016年から、
「マイナンバー」システムが動き出す。
いわゆる「国民総背番号制」だ。
このシステムは、国家の徴税には、ごっつう便利なもの。
使いようによるが、国家は個人の所得だけでなく、
資産もがっちりつかむことができる。
「大増税時代」の始まり。
もしそのような懸念が、一般国民にわいてきたら、
いわゆる「資産家」は「脱藩」を考えるかも。
ごっそり巻き上げられたら、たまらねー、でしょうからね。
近未来の一風景を書いた。
ま、ビンボー君には、カンケーネーだけどね。
ビンボー君で、ごっつう、よかったね。
ごくろう。
日本はそもそも安い店によいサービスを求めすぎ。
安い店のサービスがよくないというにせよ、すぐに出てくるし味もそこそこ、店員も一応挨拶する。
その安い店には客層は悪いわけで客もうるさい。
そんなうるさい日本で薄給で激務だったら、そりゃ店員も離れていくわ。客も客で安い店だからと割り切るべき。
ブラック企業の店で働いている店員もただのでくの坊ではないので
スキルが上がったり将来性がないと判断すれば、その店をやめて待遇のいい店や
違う業種で転職していくので市場が解決される部分もあるのでしょう。
この記事を批判する人は、ブラック企業で働いている人を心の中では見下しているのではないかと
コメント含め興味深った
ここまで読むと居酒屋に行くのを止めればいいし、類似する飲食に従事する人間には近づくなというモラルな話しですかね。かといってこれら従業員のモラルが低くてそこに集う顧客のモラルが高いわけではない。根本的に例えば24時間営業を許可する行政からしてモラルなんて考えてないわけで、そこから起こりうる利益もトラブルも未知かつ必然でしょう。
この行政のモラルなき経済社会こそ・・・献金の賜物です。ですから例えばこの美容院さんの場合は、先生に包む物包んで渡せば条例が出来ますよ、その街に。選挙?労働組合?メディア?・・・そんな事で社会は動きません、この大学生みたく不器用な人間扱いのままこき使われる前に、死ぬまでに献金しときましょう!
ちなみに最近は、「送料無料」 「24時間営業」 「中国産」という言葉にブラックな雰囲気を感じる傾向に自分はあるので、居酒屋チェーンの職場なんてまだましかなと感じます、今や人手不足というより求人困難という表現の方がしっくりくる職場ですが・・・。あぁ、国内(関東域)に中国産輸入なんて事・・・(大手企業には目をつぶる)行政ってほんとモラルないよな~。
これからどうなるかって?
うちの地域(アメリカ某市)が面白い。はっきりいって都市が老化し、古きよき次代を思い出しながら市が成り立つ。それでも景気が良くなったので英語の出来るバイト先の若手が消えた。次に来たのがヒスパニック。でも彼らも時代の変遷と共に子供を教育し、上の階層に移り低賃金作業現場から消えた。
さて残ったのは老人ばかり。日本はマクドナルドは若い人の職場だがうちでは老人ばかり。老人がフライヤーを扱い、おばあちゃんがまごまごしながらレジを打つ。スタバに行くと手の震えたお爺さんがエスプレッソマシーンを操作する。慣れたよ。
日本もいずれ老人が宅配をヨタヨタしながら配るのだろう。
海外勤務中さん
それ、近い未来の日本の姿な気がします。
現に、うちの近くの某飲食チェーン店では、
おばさん〜お婆さんぐらいの年齢層の女性が
厨房スタッフやってる姿が目立ちます。