Financial Times

社説:オバマ大統領のイラク介入は正しい

2014.08.11(月)  Financial Times

(2014年8月9/10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

イスラム国への攻撃、長期化の可能性を示唆 オバマ米大統領

イラク北部のイスラム過激派組織に対する軍事攻撃に乗り出したバラク・オバマ米大統領〔AFPBB News

3年近く前に米軍を撤退させたイラクに戻ることにしたバラク・オバマ米大統領の決断は、危険を伴うが、正しい。

 スンニ派の過激派組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」の猛攻は、その過程でキリスト教徒やヤジド派といった無防備な少数派をとらえ、改宗するか、さもなくば死ぬかという最後通告を突きつけた。

 イラク北部のクルド自治区はISISに制圧される恐れがある。人道的な大災害と戦略的な大惨事が同時に起きる現実的な危険がある。つまり、地中海に道がつながる中東地域の中心に新たなジハーディスタン(聖戦地域)が生まれる恐れだ。

 ISISは勢力を拡大しており、食い止めなければならない。ISISの前進を止める手段を持つのは、米国だけだ。

宗派浄化に乗り出すジハード主義の脅威

 米国は、ISISが8月初めにキリスト教徒が多数住む町とともにヤジド派の伝統的な居住地域だったシンジャールを制圧した後、モスル近郊の山岳部に追い込まれたおよそ4万人のヤジド派に、食料と水を空中投下した。

 オバマ氏は、ISISがヤジド派に約束した大虐殺――ISISは、イスラム教、キリスト教のほかにゾロアスター教にも起源を持つ混合宗派のヤジド派を悪魔の崇拝者と呼んでいる――から彼らを守るための空爆を許可した。米軍は8日、アルビルを脅かしているとして、ISISの迫撃砲を爆撃した。

 大統領はまた、クルド自治政府(KRG)の主都アルビルにジーハード主義勢力がさらに迫った場合には、ISISが6月の電撃攻撃でモスルとティクリートを制圧した後にアルビルに配備された特殊部隊と米国人外交官を守るための行動も許可した。

 ISISの黒い旗はアルビルから30マイル足らずのところまで迫っており、ISISは今や防衛不能に見える長い国境線沿いでKRGの民兵組織「ペシュメルガ」を撤退に追い込んだ。

 サダム・フセインの指揮下で始まり、2003年の米英の侵略後に加速したイラクの分裂は、内部崩壊する国家に道を譲り、残忍な自称・全体主義的カリフ制国家がその墓の上で踊っている。

 この危険な状況下にあって、やらねばならないことが3つある。人道的なものと戦略的なもの、そして政治的なものだ。これらの責務は慎重に管理されなければならない。

 オバマ氏がいみじくも初期の大虐殺と認定した状況を鑑…
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