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朝日新聞は嘘の上塗りをやめよ

理研の笹井芳樹氏が自殺した。ここまで嘘をつき続けた小保方氏の罪は重いが、早い段階で理研が彼女を処分していれば、こんな事態にはならなかっただろう。最初は悪意がなかったとしても、事実がわかってから嘘をつき続けることは、何倍も大きな被害をもたらす。朝日新聞も同じだ。

従軍慰安婦なるものは、もともと吉田清治が性的好奇心に訴えて講演料を稼ぐためにつくったフィクションである。もちろん戦地にも公娼はいたので、それに似た話をさがせばいくらでも出てくる。それは吉田証言を信じた記者の確証バイアスが原因だ。追い詰められた朝日新聞は「強制連行」は使う人によって定義に幅があるという言い逃れを始めた。
慰安婦の強制連行の定義も、「官憲の職権を発動した『慰安婦狩り』ないし『ひとさらい』的連行」に限定する見解(秦郁彦氏)と、「軍または総督府が選定した業者が、略取、誘拐や人身売買により連行」した場合も含むという考え方(吉見義明氏)が研究者の間で今も対立する状況が続いている。
そんな対立は存在しない。吉見氏のいうような「軍の関与」は、日本政府が1992年の加藤談話で認めて謝罪しており、すべての研究者も政府も一致する事実である。売春というのは紳士的な仕事ではないので、民間の業者の「強制」や人身売買があったことは周知の事実だ。そんな問題は争点ではないのだ。

「強制連行」という言葉をつくった朴慶植の『朝鮮人強制連行の記録』では、軍や官憲が国家権力によって徴用したことをさしており、この意味での強制連行は245人の男性について確認されている。女性の徴用は制度としてなかったので、この意味での強制連行はありえない。

単純な嘘つきだった吉田清治より、定義を変遷させて問題をすり替える吉見義明氏のほうが罪が重い。彼は民間業者の「誘拐や人身売買も強制連行である」と定義している。こう定義すれば強制連行があったことは自明で、朝鮮戦争の時代の韓国にもあった。それに政府や軍が「関与」したのも当たり前だ。戦場で軍が関与しないで商行為はできない。

朝日は1992年の女子挺身隊という報道が誤りだったことも認めたが、これは単純ミスではない。宮沢訪韓の1週間前に「強制連行」のニュースを出して政権に打撃を与えるための政治的演出だった。問題のコアである吉田証言が嘘であることを認めたのだから、朝日は見苦しい嘘の上塗りをやめ、過去の報道をすべて虚心に見直すべきだ。

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