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朝日新聞の得意な思考停止ワード

朝日新聞の慰安婦検証記事は、過去の誤報を訂正したのはいいが、素直に「当社の慰安婦報道はすべて嘘でした。すいません」と謝罪すればいいのに、「女性の尊厳」がどうとか説教を始めたので、「開き直りだ」と批判を浴びている。このように誰も否定できない言葉で思考停止させるのが、彼らの常套手段だ。それをあげてみよう。

  • 女性の人権:売春がいい仕事か悪い仕事かといえば、いいという人はいないだろう。それを現代の基準で「性奴隷」とか「人権侵害」と非難するなら、吉原はもっと大規模な人権侵害だった。公娼はひとりひとり登録して、警察が管理していた。それが人権侵害というのは話が逆で、公的に衛生管理して彼女たちの生命を守ったのだ。

  • 生命の尊厳:原発がなくてすむなら、ないほうがいいい。しかし日本経済は、原発を止めたままでやっていけるのか。原発を止めたら化石燃料で、大気汚染と地球温暖化が起こる。大気汚染によって、全世界で毎年700万人が死んでいる。

  • 子供の未来「プロメテウスの罠」の鼻血の記事にみられるように、「子供の命を気づかう母親」というのが、朝日新聞のよく使う聖なるアイコンだ。子供の発言を利用して、「福島は恐い」などと大人のいえないことをいわせる。

  • 可能性はゼロではない:強制連行の証拠は何もないが、元慰安婦は「強制連行された」と証言しているので、実際にあった可能性はゼロではない。福島で放射線障害は出ていないが、これから出る可能性はゼロではない。朝日は、ゼロではない事象の確率は100%だと思っている。

  • 経済性より安全性:官僚や財界は国民の生命より自分たちの利益を考えているから、朝日のような正義の味方が国民の生命を守るという。しかし坂本龍一氏のような高度医療は、金がなければ受けられない。所得が今の1割だった江戸時代には、平均寿命は40歳以下だったのだ。
こういう思考停止ワードに共通しているのは、美しい建て前だということだ。世の中にはリスクも便益もあるが、リスクだけを見て便益を否定したら貧しくなり、結局は別のリスクが増えてしまう。それを見ないで、朝日の社会部が「リスクはゼロじゃない」と建て前を振り回したら、それに抵抗できない人は黙ってしまう。

これは戦前に朝日が使った「統帥権の干犯」や「国体の本義」などのスローガンと同じで、具体的な中身がないが、それを疑うと「非国民」として社会から排除される。こうしてみると、国民を戦争に巻き込んだ朝日新聞のレトリックは、21世紀になっても変わっていないことがわかる。

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