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元楽天・一場靖弘 通信機器会社の営業マンになっていた

日刊ゲンダイ 8月10日(日)10時26分配信

 去年の日本シリーズで優勝を果たした東北楽天。05年の創設時の弱小ぶりを思うと感慨深いものがあった。その創設時の楽天投手陣の一翼を担ったのが一場靖弘さん(32)だ。入団前に巨人などから裏金を受け取っていたことが発覚し、大騒動になった。今どうしているのか。

一場さんと会ったのは、JR水戸駅からクルマで10分の通信機器販売会社「パーソナル電電」。

「楽天時代に先輩やコーチとしてお世話になった紀藤(真琴)さんに声をかけていただき、今年1月から営業をしてます。事務用の電話機とかコピー機、防犯カメラとかの商材を建築屋さん、美容室、介護施設とかに提案するのが仕事。お客さんには野球好きの方も多く、話がしやすいですね」

 一場さん、まずはこう言った。4年いたヤクルトから戦力外通告を受けたのは一昨年。それからは何をしていたのか。

「去年は東京の東久留米にある、お店の看板全般を作る会社で看板のデザインをしてました。もちろん、すぐにデザインができるわけはなく、デザインに必要なパソコンのイラストレーターとかフォトショップの使い方を教えてもらい、だんだんできるようになりました。そこは高校時代の野球部の同級生が引っ張ってくれ、みんな良くしてくれた。ホント、仕事はおもしろかったんですけど、お客さんと接点を持つ厳しい仕事の方が自分の今後に役立つと思ったのと、今の会社は基本給プラス歩合制なのでよりやりがいがあると判断しました」

 営業マンらしく明るく、言葉も滑らかだ。

「人と会って話をするのは嫌いじゃないタイプです。給料? 基本給は大卒の新入社員よりちょっと多いくらいかな。これまで歩合がつかなかった月はありません、ハハハ」

■2月にネイリストと再婚

 もう野球に未練はないのか。

「正直、もっと野球をやりたかったとは思いますよ。だけど、肩や股関節を痛めてしまい、もう満足のいく球は投げられない。野球選手としてより、これからの人生の方が長く、新しいことを学んで成長しないといけない、とプロを辞めてからは気持ちを切り替えました」

 去年の楽天の優勝はどんな思いで見ていたのか。

「ウ〜ン、とくには…。ボク自身は次のステップに進んでましたし。でも、野球は今も楽しんでます。この会社は紀藤塾って、紀藤さんがメーンでやってる野球教室があり、お手伝いをしてます。日曜日には大学の同級生が率いる常陽銀行の野球チームで、打って投げて。やっぱり気分が晴れます」

 さて、一場さんは桐生第一高校2年の時、夏の甲子園に2番手ピッチャーで出場して優勝したものの、3年時は初戦敗退。明治大学に進学し、4年の時、戦後最多のシーズン107奪三振や完全試合を達成するなど大活躍した。当然、ドラフトの目玉と注目されたが、「栄養費」「タクシー代」「食事代」などの名目で巨人から200万円、横浜から60万円、阪神から25万円を受け取っていたことが発覚。巨人の渡辺恒雄オーナー(当時)らが辞任する騒動に発展。自身も入団した楽天では4年間で通算15勝と不本意な成績に終わった。

「オーナーさんとかと会ったこともないのに、辞めさせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいでした。せっかく楽天に入れてもらったのに、ろくに働けなかったのはそういう罪悪感、気持ちの面が大きかったと思います。プロに入る時に出はなをくじかれ、そのままズルズルという感じでした。自分は悪者なんだ、って萎縮してしまったんですよ。人生の最大のミスだと後悔しています。戻れるなら、大学4年の初めに戻りたいですね」

 この2月に再婚した、3歳下のネイリストと勤務先の近くで暮らす。

日刊ゲンダイ

最終更新:8月10日(日)12時48分

日刊ゲンダイ

 

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