「安倍首相は撃たれ、安重根の声がハルビン駅に響き渡った」

キム・ジョンヒョン著『安重根、安倍を撃つ』

 キム・ジョンヒョン氏は、韓国の一部に「日本と和解すべき」という意見があることについて「それは違うだろう」と反論した。「日本側で確実な反省がないのなら、韓国が先に頭を下げることはないだろう」という判断だ。「外交的な問題のせいで民間まで口を閉ざす必要はないと思う」

 キム・ジョンヒョン氏は、安重根が伊藤博文を狙撃した10月26日に本を出版しようとしていた。しかし日本との外交の状況が急速に悪化したため「思い切って筆を執り、5週間で1300枚書いた」という。

 安重根が安倍首相を撃った後に裁判を受ける、空想が加味された部分では、裁判長に孫文、検察官に蒋介石、判事に魯迅、康有為、弁護人に周恩来などが選任されている。中国で尊敬されている人物の名前を借りたわけだ。「中国人も共感できるようにした設定」というのが著者の説明だ。

 今の時代に安重根を復活させるという空想のストーリーの中で、安倍首相を撃つ理由は何か。「今この時代、誰かが安倍首相を撃とうと武装闘争を試みても、それは難しい。だから安重根を復活させた。安重根でなければ意味がない状況だ。この年齢で、どうしてあえて空想小説を書こうとするだろうか。書かざるを得ない状況ということだ」

 安重根をテロリストと考える日本の見方は不当で、現地の多くの人々もこれに同意しないだろうと考えた。「政治に利用しようとする人々が言っているだけ」というわけだ。

 何よりも「日本政府の姿勢に変化があるべき」と強調した。「日本の姿勢さえ変化すれば、こんなにひどく揺れはしないだろう」と考えた。

 4日午前、カトリックのソウル大教区では、安重根の遺墨「敬天」の寄贈式が開かれた。先月、蚕院洞聖堂が朴三中(パク・サムジュン)僧侶から「敬天」の遺墨を購入し、ソウル大教区に寄贈した。カトリックの信者だった安重根が、1910年3月に旅順監獄で書いたものだ。

 キム・ジョンヒョン氏は「カトリックで、安重根の再評価は当然行われるべきこと。遅かったという感がある。私はカトリックについてよく知らないが、いずれは信者の名誉回復程度ではなく、聖人の列に加えるべきではないかと思う」

 これとともにキム・ジョンヒョン氏は、2000年から中国・北京を拠点に、中国の歴史と文明史をセットにした「中国人の物語」の執筆を進めている。最近は、慶州の遺跡の発掘現場から実際に出土した遺物を素材にした小説『黄金宝剣』も発表した。

「次の作品は、中国の物語になるだろう。春秋時代の物語まで書いたが、視野が狭まりそうなので、次回作ではまず抗日小説をもう1本書こうかと考えている。(安重根の)東洋平和論を基にした政治小説を構想している」。392ページ、1万4800ウォン(約1470円)、ヨルリムウォン社。

イ・ジェフン記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 「安倍首相は撃たれ、安重根の声がハルビン駅に響き渡った」
  • 「安倍首相は撃たれ、安重根の声がハルビン駅に響き渡った」
  • 「安倍首相は撃たれ、安重根の声がハルビン駅に響き渡った」

right

関連ニュース