2014年8月9日(土)

何にも長続きしなかった原因はこれだ!

プレジデントFamily 2013年1月号

著者
川口 昌人 かわぐち・まさと
雑誌エディター/ライター

川口 昌人

フリーランスエディター/ライター、商業誌翻訳者。1963年生まれ。米国系報道週刊誌の編集部にいたが、息子の誕生を機にフリーに。現在はプレジデント Familyほかで各種記事を執筆。カバー分野はテクノロジー、心理、医学、ビジネス、美術、教育、子育てなど。特技は冷蔵庫の中を見ての夕食作り。

執筆記事一覧

川口昌人=文 遠藤素子=撮影 飛田冬子=イラストレーション 教える人:林 成之(日本大学大学院総合科学研究科教授)
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3.「ご褒美」を徹底活用

さらに脳がよく働くためには「自己報酬神経群」による「ご褒美」が必要だが、そのためには「自我」の本能である「自分で考えたことをやりとげる」ことが効果的だ。したがって、早起きの習慣をわが子につけさせたいのであれば、自ら進んで取り組むような工夫をすることが、脳のしくみから見たときに最も理にかなっているといえる。

「何時に起きるか」を親が決めるのではなく、子供自身に決めさせるのだ。学校に行くまでに何をするか、身支度や軽い運動、朝学習の時間、朝食など、子供が考えたスケジュールを紙に書かせ、見えるところに貼っておくのもいい。予定どおりできたらシールを貼る。シールというのは、子供には大きなご褒美になるものだ。

もちろん、ちゃんと起きられたら「さすがお母さんの子!」などとしっかり褒めること。

「結果を出したら褒めることで、教育は完結します。小さな成功体験を積み重ね、『自己報酬神経群』をしっかり使うと、自我の本能が鍛えられ、またやってやるという気持ちが子供の中に湧いてくるのです」

「ご褒美」には、「自分のしたことで誰かが喜ぶ」ことも含まれる。「お母さん、嬉しいな」と伝えることも忘れずに。

子供が頑張っている間、親はサポートに徹することも重要だ。「無理やり」「ガミガミ」「手取り足取り」は、脳のしくみから見れば逆効果でしかない。

「朝学習のスケジュールを作るときも、あれこれ指図せずに『どうすればいいと思う?』などと、子供が考える手助けをする程度でいいんです」

なかなか早起きできなくても気長に待つこと。1週間のうち1日でも早起きできたらすかさず褒める。小さな成功体験を積み重ねることによって、「あれ、僕でも起きられるんだ」「朝っていいかも」と、やがて「A10神経群」が「早起きは楽しい」とレッテルを貼るようになるのだ。

「親御さんも脳のしくみを勉強して、お子さんと共に成長するつもりで、楽しみながら取り組んでください」

林 成之
日本大学大学院総合科学研究科教授。
日大医学部附属板橋病院救命救急センター部長として脳低温療法を開発。脳蘇生医療の最先端で活躍する脳科学の第一人者。

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