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AH!SHOCK'N'ROLL PARADISE! 作者:紫 碁盤

(第9話 名探偵!畠山)

(軽井沢お見舞い当日の朝。ショックンの教室内)



マッチ「(はあ~お見舞いかぁ~行きたくないなあ~。誰がお見舞いなんてシステム考えたんだろう。逆に殺し屋を送り込みたい気分だっていうのにさ。)」


(軽井沢がいないことで天国に感じていたマッチだがお見舞いに行かないと行けないので今日は少し気が滅入っていた。)



海ちゃん「マッチ簿記テストお疲れさん!いやー残念だったね~。オレも72点で合格してあぶなかった~。あーでも試験終わってなんか暇に感じるよね。すぐ家帰ると。」


(満面の笑顔で言う彼の名前は海田。通称ウミちゃんと呼ばれている。元パチンコ屋店員でガリガリのエイリアンみたいな顔をしている。砂漠のように乾いたワキガ臭の持ち主。あんまり近くに寄りすぎると危険。)


マッチ「まあね。海ちゃんは受かっててよかったね。(海ちゃんは自分の話したいだけだからなあ~毎回。すぐ自分の話にすり替えちゃうし。)」


(マッチちょっとうざく感じる。)


海ちゃん「いやーオレも危なかったよ。あと3点足りなかったら落ちてたんだからさ~。まああんま勉強する気も起きなかったから仕方ないんだけどね。」


マッチ「(君には毎回ホント節々ムッとくるとこあるんだよね・・。オレ海ちゃんの数倍の時間勉強して落ちたんだけど・・。まあ海ちゃんに悪意はないんだけろうけど。)」


海ちゃん「そういえば軽井沢さん入院したね。ヘルニアなんでしょ?オレもパチンコ店員時代一度ヘルニアなってさ~それで仕事辞めようと思ったんだよね。」


マッチ「海ちゃんその話はもう6回くらい聞いたよ。あんたひと月2回は同じ話言ってる計算になるよ。」


海ちゃん「そうだっけ。いや~オレ軽井沢さんのことが心配でさ~ついつい。」


マッチ「(んなワケないし・・)」

(マッチ溜息をつく。)

(お見舞いで気が滅入ってるのに海ちゃんの自分勝手な話を聞かされマッチ珍しく少しイラッとする。)


(マッチふとある考えをひらめく)




マッチ「心配ってホント?」

海ちゃん「ホント。」

マッチ「ホントに?」

海ちゃん「ホント。」


海ちゃん「ホントだよ~。マッチオレが軽井沢さんをどんだけ心配してるかわかってないよ。まったく。」


マッチ「そっか~。ごめんごめん。純粋にクラスメイトを想ってのことだったんだね。」

海ちゃん「当たり前だろ。」


マッチ「じゃあ今日の放課後軽井沢さんのお見舞い行くことになってるから海ちゃんもメンバー入れとくね!」



海ちゃん「え!?」


海ちゃん「えーー!!それ困るん・・」


(マッチ断りの言葉を言われる前にダッシュで逃げる。)


(海ちゃん地獄への道連れにされたことに気付き追いかけてくる。)


(マッチ全力で教室を出て階段を降りて素早く方向転換し海ちゃんをまいて下駄箱の隅に隠れる。)


(マッチポケットから携帯電話を取り出す。)


マッチ「よし!」


(マッチ急いでメールを打ち送信ボタンを押す。)



マッチ「ふう~。」


(メールを送り終わったマッチは大きな商談を成立させた後のサラリーマンの様にに大きく一つ息を吐く。)



海ちゃん「おいマッチ~!!」


(海ちゃんハアハア言いながらマッチを探し走ってくる。)


マッチ「海ちゃんホント体力無いな~。痩せすぎだよ。」


海ちゃん「マッチ~!いきなり居なくなるなよ・・ハアハア。てかお見舞い行くとか言ってないからね!オレ。一応言っとくけど。」


マッチ「海ちゃん・・。」

(マッチがシリアスに言う。)


マッチ「今、『一斉送信』という経絡秘孔の一種のボタンを突いた・・。」


マッチ「お前はもう・・死んでいる・・!」


海ちゃん「なに言ってんだよ。マッチ。なんで『北斗の拳』のマネを・・」


ブルブルブルブルブル・・。


(海ちゃんの携帯がメール着信で震える。)


マッチ「その濁った目で来たメールをよく読んでみるんだな。」


(マッチが海ちゃんを人差し指で指差しながら言う。)


(海ちゃんメールを読む。)


海ちゃん「な、なにぃ!?」




(以下メール内容)



 To:軽井沢さん
 Cc:海ちゃん
 Cc:畠山
 Cc:野山

お疲れ様~。

今日の軽井沢さんのお見舞いだけど
海ちゃんがどうしても行きたいらしいので
一緒に行くんで~。
よろしくね~。

以上。



(メール内容終わり)



海ちゃん「宛て先が軽井沢さっ・・。」

(海ちゃん自分も絶対行かないといけないことになった事に悪い顔色がさらに悪くなる。)


海ちゃん「ひどいよマッチ!今日はアニメのDVD買いに行く予定だったのにぃ~。」


マッチ「アニメのDVD?・・地獄で買うんだな!・・。」


海ちゃん「・・ヒ・・デ・ブ~!!」


(海ちゃんがっくり膝をつく。)


(マッチ屍と化した海ちゃんを踏み越えて階段を上っていく。)


(マッチ教室に入る。)


畠山「マッチ!メール見たけど海ちゃんも行くってホント?」


マッチ「うん。海ちゃんクラスメイト想いだから。自発的に。善意でね。」


畠山「あの2次元オタクのエイリアンが!?ありえないでしょ!?」


マッチ「まあまあいいじゃないか。畠山。道連れは多い方がさ・・へっへっへ。」


畠山「マッチあんた今非常に恐ろしい顔してるよ(汗)・・。」


マッチ「そう?」


畠山「かなりね・・(汗)」


マッチ「だってさー。せっかく軽井沢さん居なくてこのクラスの生態系が正常に戻って平和にみんな暮らしてるっていうのにわざわざみんなを食べる怪物に餌あげに行くような行為に矛盾を感じてならないんだよ僕は!。」


畠山「行きたくないからお見舞いには行きませんって軽井沢さんにメールしたら?」


マッチ「それが出来れば日本は変わるよ。」


畠山「まあね(汗)。」


マッチ「そいえば慎吾OKだった?今日」


畠山「バイトだから無理ってさ。」


マッチ「やっぱ無理か~。そう上手くはいかないよね(汗)」


マッチ「魔人軽井沢の怒りを鎮める事が出来るのはイケメン慎吾しかいないんだけどなあ。」

(マッチ頭をかかえる。)


畠山「慎吾の代わりがエイリアン似の海ちゃんに勤まるわけがないしね・・。」

マッチ「ホントだよ。いっそのこと映画の『エイリアンVSプレデター』みたいに軽井沢さんと海ちゃんで殺し合ってくれればいいのに。」


畠山「海ちゃんと軽井沢さんは体重差がありすぎるよ。」


マッチ「そだね。ボクシングで言えばフライ級とヘビー級くらいの差があるかも。」


(野山が現れる。)


野山「おはよ!海ちゃんもお見舞い行くんでしょ?さっき1階の下駄箱で海ちゃんのシカバネを見たよ。」


畠山「まあね。マッチがブラックホールに引きずり込んだんだよ。無理やり。」


野山「人数多い方が楽しいしね!」


マッチ「おいおい野山今日は遊びに行くんじゃないんだぞ!怪物の巣穴に調査に行くんだから。しかも相手は手負いの怪物だ。どんな捨身の攻撃をしかけてくるかも分からないんだぞ!。気の抜けた発言は控えろよ。」


野山「大丈夫だよ。マッチ。こっちには秘密兵器があるんだし。」


畠山「秘密兵器?」


野山「海ちゃんお得意の殺人攻撃だよ。」


畠山マッチ「あー!」

(二人ともナイスアイディアを思い出したように言う。)


マッチ「確かにこのクラスには凶悪なワキガの持ち主が2人もいる。水戸黄門で言えばスケさんカクさん、西遊記で言えば金閣銀閣、おばあさんで言えば金さん銀さんみたいな二大巨頭が。忘れてたよ・・このクラスの通称『IT情報処理科のダブルドラゴン』の一人が・・海田だってことを!」


畠山「そうだ!海ちゃんは乾いた悪臭のワキガの持ち主!」


野山「本人は認めてないけどね。」


畠山「認めるべきだよね。あんな事件起こしといてさ。」


マッチ「そう、アレは忘れもしない4月の暑い日・・。」





(ここからマッチの記憶の中。簿記の授業中。)



(マッチの席の後ろが畠山で畠山の隣が海ちゃん)


畠山「暑いね今日。まだ4月っていうのにこの暑さ。5月になったらどうなるんだろう。」


マッチ「確かに。花粉症の人がいるから窓開けられないのは仕方ないけどこの教室クーラーないからなあ。唯一廊下側の窓が空いてるのが救いだけど。」


海ちゃん「確かに暑いよね。」

(海ちゃん服をパタパタする。)

畠山「ちょっと海ちゃん!あんた地球の生命を壊滅させる気!?」

海ちゃん「どゆこと?」

畠山「あんたのその乾いたワキガの悪臭だよ!前も忠告したでしょうが!もう夏になるから何か制汗剤的なものをワキに塗らないと地球人に嫌われるよって!」


マッチ「まあまあそんなストレートに言わなくても(汗)」


海ちゃん「いやオレはワキガじゃないって!」

(海ちゃん断固否定)


畠山「いやワキガ。やっぱこういうのは言ってあげた方がその人の幸せよ。」


マッチ「(まあ確かに。ズボンのチャックが開いてる人に言うか言わないかみたいなもんかな。)」

海ちゃん「ふっふっふっ。畠山さん。今日のオレはいつものオレじゃないから大丈夫さ。」

畠山「どうゆことよ?」


海ちゃん「今日コレ使ってるから。」


(海ちゃんスプレー缶を机の上に出す。)


マッチ畠山「こっ、コレは!?」


海ちゃん「8×40(エイトフォーティ)だよ。今日新発売の制汗デオドラントスプレーさ!!。」


マッチ「(あんた否定してたけどやっぱ自分でも気付いてたんだ・・クサいって・・(汗)」


畠山「わー。制汗剤の新製品ってなんか惹かれるよね。。たしかそれ緑茶成分入りだよね!。雑誌で見たよ。」



畠山「てかえらい!海ちゃんやっと地球に馴染んだね!」


海ちゃん「元から地球人だって!。」


畠山「いやー海ちゃんは地球を汚染しにきたエイリアンかと思ってたよ。」


海ちゃん「どんな宇宙人だよそれ!。」


畠山「こんな宇宙人。」

(畠山が海ちゃんを指差す。)


海ちゃん「もういいよ・・。」

(海ちゃん勉強に戻る。)


(そして30分が過ぎ教室の温度は30度近くになる。)


(畠山が後ろの席からマッチをつつく)


畠山「なんか・・気分悪いんんだけどあたし。」


マッチ「え?実はなんかさっきからオレもなんだよ。なんか意識がくらくらするっていうか教室全体にミストっていうかモヤがかかってるようななんか空気が重い感じ。」


畠山「うわっ。国仲さんが吐いた。口を押えた手から漏れてる・・。」

(マッチの隣の席の優等生の国仲さんが軽く吐く。マッチ気を使って気付かないふり。)


マッチ「てかなんか周りみんな気分悪そう。」


畠山「この暑さのせい?脱水症状とか?」


マッチ「いや水分は自由に取っていいことになってるから暑さによる脱水症状は考えにくい。みんな暑いの分かって飲み物もってきて水分取ってるし。別の事が原因だと思う。」


マッチ「畠山!見て!廊下側の人達はピンピンしてる!気分悪いのはこの付近だけみたいだ。」


(空気を直接吸わないようにマッチと畠山は持っていたタオルで口と鼻を押さえる。)


畠山「そうなの!?」


(畠山周りを見渡す。)


マッチ「おそらくだがなんらかの理由でオレ達はテロ攻撃されている。テロ攻撃?野山か?」


(畠山とマッチが3列右の野山の方を見る。)


(野山睡眠中。)


マッチ「野山じゃない。野山以外の奴がなんらかの攻撃をしかけているんだ。そういえばマスタードのニオイの殺人ガスもあるって聞いたことがあるぞ。もしかしてこれがなんらかの殺人ガスなら新種!?オレ達をまさか人体実験に!?。確かにショックンの人間は社会の何にも属さない肩書きの人間達だ。それをいいことに政府の巨大な陰謀か!?政府よ、オレ達を始末したところで高齢化社会は変わらないのに・・どうして・・うっ無、無念・・。」

(マッチ意識を失いそう。)


海ちゃん「マッチどうしたの?」


畠山「マッチ起きろ。起きろ。」


(やっぱりマッチ意識を失いそう。)


(マッチあることに気付きとっさに畠山の机にペンシルでメッセージを残す。)


マッチ「真犯人は・・。」


バタっ


(マッチ気絶。)


海ちゃん畠山「マッチ~!」


(二人ともマッチをつつくが反応なし。)


畠山「ちょっと大丈夫なの?これ。てか海ちゃんマッチがさっき真犯人は・・っていってたよね?。」


海ちゃん「うん。」


畠山「じゃあこれもしかしてダイイングメッセージかな?」

(畠山がマッチが書いたメッセージを指指す)

海ちゃん「ダイイングメッセージ?」


畠山「探偵小説で犯人に殺された人が犯人を示す暗号を死ぬ前血文字とかで残すアレよ。」


海ちゃん「なるほど。」




(以下ダイイングメッセージ)


〇カ×8


(ダイイングメッセージ終わり)




畠山「まる か ばつ はち?」


海ちゃん「いやマッチはこっちを振り向きながら書いたから180度回転させて読むんじゃない?普通に考えて。」


畠山「あ、そかもね。」


海ちゃん「だから・・ 8×40 ってことじゃないかな。」


畠山「あ。なるほど~。海ちゃん頭いい~。」



海ちゃん「・・・・。」

畠山「・・・・。」


海ちゃん「・・・・。」

畠山「・・・・。」


(1分経過する。)


(畠山やっとピンとくる。)


畠山「犯人は海田!お前だっ!」


海ちゃん「え!?なんでオレ?」


畠山「海田。だって君は自分が犯人だと最初から言っていたからさ。」


海ちゃん「どういうこと!?(てかなんでオレ犯人に?)」


畠山「犯行時刻に白昼堂々平然と殺人をやってのけることができるのは君だけだからだよ海田君!。ヘアカラーやブリーチの様に2剤を混ぜて化学変化を発生させるという君のトリックには脱帽したよ。自分の乾いたワキガ臭のするワキに『8×40』を散布して巧妙な化学変化を起こし殺人臭を発生させ、この世をカオスに導こうとするとはね。」


畠山「君の計画は完璧だった・・。しかし君は最大のミスを犯した!。」


海ちゃん「えー?(いやいやミスもなんも・・)」


畠山「それは調子に乗って自分がエイリアンであると公言したことだ!。」


海ちゃん「えー!?(しいて言えば断固否定してたけどオレ・・。)」


畠山「おそらく君の星では酸素がなくても生きていける環境なんだろ?代わりに硫酸ガスか何かを吸ってね。だからこの殺人臭の中でも平然と授業が受けられたんだ。みんながもがき苦しむ毒ガスの中心で平然としていたそのオゴリと思い上がりがそもそもの貴様の敗因だ!自分の無能さを思い知れ!残念だったな!地球侵略に失敗して!ざまあみろ!」



海ちゃん「ど、どゆこと(汗)!?」



畠山「問答無用!観念しろ!」


シューッ!!

(畠山バックに持っていた靴用の消臭スプレーを海田に発射。)


海ちゃん「ぐわーっ!!!」


畠山「そうだ溶けろ溶けろ~!!」


海ちゃん「やめてー!!(人間は消臭スプレーでは溶けないよ~。)」


(実際このクラスの中で起きた異臭騒ぎは海ちゃんが原因であった。海ちゃんがみんなに迷惑をかけまいと善意で使用した制汗スプレーは海ちゃんのワキガ臭と絶妙に絡み合い、奇跡の殺人臭を発生させていたのであった。しかし畠山の半分魔女裁判的な推理により教室の新鮮な空気はまた取り戻されたのであった。そして過失致死的な罪を犯した海ちゃんには今後一切の『8×40』使用禁止令が発令されたのであった。)



(ここでマッチの回想記憶終わり。)


(マッチ思い出して身震いする。)



マッチ「あ・・あの殺人兵器を使うというのか・・・(汗)」

(マッチ恐ろしさのあまりつばをゴクリと飲み込む。)


野山「ああ・・。」

(野山ゆっくりとうなずく。)




(つづく。)
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